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炭治郎の目から宝石のような涙が零れ落ちるのを見た。泣かないで。私のことで泣かないでよ。その宝石を手に取ろうと手を伸ばす。しかし手は少しも動いてくれなかった。物語だと奇跡は起こるけど、私にはそんな奇跡は起こらなかった。
「生きたいって、思ってるなら生きてください。生きる理由だけじゃなくて、俺をあなたの未練にしてください」
炭治郎が私の右手を優しく包んだ。その手が温かいのか冷たいのか、手が動かない私にはもう知る術はなかったが、炭治郎の手は温かかった。
どうして君は、いとも簡単に私の凝り固まった考えを解してくれるのだろうか。大事なものなんて作らないと決めた七つの時。鬼狩りになった十五の時、いつ死ぬか分からない場所に身を置くからと未練を作らないとも決めた。でもね、たった今。私の未練は君になったよ。
ただ鬼を狩るだけだった。自分がいつ死んでもいいように、大体は1人でいた。そんなまいにちに君が彩を付けた。
炭治郎。炭治郎。
重ねたその右手と左手を。
離さないでね、離さないから。
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あかね(プロフ) - 春巻さん» 炭治郎いいですよね……!良かったです、そう言っていただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます、これからも頑張ります! (2020年5月27日 19時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
春巻 - 炭治郎大好き民なので凄い勢いで読んでしまいました(笑)気づいた時には涙腺崩壊(´;ω;`)ウゥゥとっても素敵なお話でした!これからも頑張ってください(*'▽') (2020年5月27日 18時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 遥さん» うえ!こんなちんけな作品をそう言って貰えて喜びの舞です!!嬉しいです、ありがとうございます!! (2020年4月26日 1時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - どうやったらこう、素敵なお話が書けるんですかぁ〜〜(´TωT`)とても泣けました!ありがとうございます(泣)突然馴れ馴れしいコメントすみません。 (2020年4月26日 1時) (レス) id: c53d9db867 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - うすすさん» そう言っていただけるなんて恐縮です!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年3月10日 10時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月3日 23時