27日 ページ27
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瑞々しい若葉が空に映える季節になった頃には、私は両足はもう殆ど動かなくなっていた。
でも、どこにでも炭治郎がおぶって行ってくれた。綺麗な花を見つけたら、善逸が禰豆子ちゃんにするみたいに持ってきてくれた。たまにツヤツヤ光るドングリが入っていたのは嘴平くんの仕業だと思ってる。
しかし彼なりの気遣いだと分かっていたので、炭治郎からもらった花を押し花にしたのと一緒に仕舞っている。
そして彼はかなり筆まめだった。任務に出向いて会えない日は、必ずと言っていいほど藤の花の家紋の家から文を送ってきた。
内容はその日倒した鬼のこと、その日の夕ご飯、日によって内容は違ったが、必ず私の身体を心配する言葉を入れてくれた。
炭治郎に文の返事を書こうと筆を持つが、手が震えて上手く書けなかった。そろそろか、と客観的に受け入れている自分がいた。ゆっくり一文字一文字、丁寧に書く。そのせいで半刻もかかってしまった。
炭治郎の鴉に文を括りつけて飛び立ったのを見届けた後で、もう一度筆を握る。
もう一度、炭治郎に宛てて文を書いた。私が死んだ後に読んでもらうための。つまり遺書である。残された時間で、まだまだいっぱい思い出はできるんだろうけど、手がいつ動かなくなるか分からないから。今のうちに文を認めておくことにしたのだ。
さっきの文の倍以上かけてかけた文は、丁寧に折り畳んで封筒に仕舞った。その中に炭治郎からもらった押し花を1本だけ入れて。
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あかね(プロフ) - 春巻さん» 炭治郎いいですよね……!良かったです、そう言っていただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます、これからも頑張ります! (2020年5月27日 19時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
春巻 - 炭治郎大好き民なので凄い勢いで読んでしまいました(笑)気づいた時には涙腺崩壊(´;ω;`)ウゥゥとっても素敵なお話でした!これからも頑張ってください(*'▽') (2020年5月27日 18時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 遥さん» うえ!こんなちんけな作品をそう言って貰えて喜びの舞です!!嬉しいです、ありがとうございます!! (2020年4月26日 1時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - どうやったらこう、素敵なお話が書けるんですかぁ〜〜(´TωT`)とても泣けました!ありがとうございます(泣)突然馴れ馴れしいコメントすみません。 (2020年4月26日 1時) (レス) id: c53d9db867 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - うすすさん» そう言っていただけるなんて恐縮です!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年3月10日 10時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月3日 23時