雪の日、僕らは確かに永遠を誓った【竈門炭治郎】

16日 ページ16

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しのぶさんはそれらの書物に一通り目を通し、長いまつ毛を伏せて言った。









「Aさん、落ち着いて聞いてください」

「はい」

「Aさんの症状と外国の論文を照らし合わせると1番近いのは、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)です」









よく分からない単語が頭を巣食う。筋萎縮……までは聞き取れたけど、そこから全く知らない単語が並び困惑する。









「この病気は筋力の萎縮と筋力低下をきたす神経系の病気です。Aさんの場合、まずは下肢が動かなくなり、恐らく次に上肢。舌の筋力も衰えて喋れなくなり最期は呼吸筋が衰え呼吸困難で……」









それまで淡々と事実だけを述べていたのに、死ぬとしのぶさんは言わなかった。そうか、私は死ぬのか。碌でもない人生だった。七つの時家族を鬼に殺されて、そこをたまたま通りかかった師範が助けてくれて。恐らく、私は生まれ育った家に置いてきてしまったのだ。死に対する恐怖も、未練も。









「どれくらい生きられるんですか」









しのぶさんが固く目を瞑った。言おうか言わまいか葛藤しているのか、私たちの間に沈黙が流れる。









「大変珍しい病気で治療法も確立されていません。Aさんに残された時間は、2年です」

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