シガーキス secondary【今牛若狭】

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あれから若狭くんからもらったネックレスを付けて。そして彼の強い要望に沿い、所謂婚約指輪を付けて職場に通っている。目敏い同僚や生徒たちはすぐ気付き、和やかなお祝いムードが恥ずかしいようで嬉しかった。



元婚約者の時は、籍を入れるまで言わないでおこうと決めていた。今思えば良い判断だったと思う。今ではもう彼のことなんてすっかり笑い話だ。



「同棲はしないの？」



『伝があるので、そこで物件探させてもらおうかなって』



パーちんくんにはケースケと一緒に勉強を教えてるので、ご両親とも面識がある。前回の物件が早く決まったのは、パーちんくんのおうちが探してくれたからだ。



受験シーズンが終わったら2人で見に行って、物件を決めてから両家への挨拶をしようと決めていた。



今の物件でもいいんじゃないかと思ったけれど、若狭くんは2LDKは譲れないらしい。2人暮らしには広すぎると思うんだけど。なんて相談をしていると、若狭くんからメッセージが入って来た。彼女に断りを入れて開く。




今牛若狭悪い、ベンケーが大会に出場することになった。練習に付き合うから当分迎えに行けない



若狭くんは毎回迎えに来てくれるが、それは義務ではない。それでも律儀にこうやって断りのメッセージをくれる。了解のスタンプだけ送って同僚に向き合うとニマニマしていた。やめて欲しい。




「ってことは五十嵐先生今日1人？」



『そうなる』



「え！？危なくない！？歩きでしょ？佐野くんにお願いしたら？」



彼女も歩きだが、駅までなので距離はたかが知れてる。それに私の家は駅とは逆方向なので、一緒に帰る人は誰一人いないのだ。




ついでに彼女は私とイザナの関係を知る唯一の人物。身内贔屓をしてるつもりもする気も毛頭ないが、もし関係が周囲に知られた場合、私が悪く言われるのは構わないけど、イザナが言われるのはかなり堪える。イザナの努力が全て贔屓によって得られた物だと疑われるのだけは避けたい。



そんな彼はラストスパートに向けて自分を追い込んでいるらしいので却下。真一郎も最近整備が多く入っているらしいし、万次郎も一応あれでも受験生。よって手が空いてる者はいない。



『たまに1人で帰ることあったけど、何も無かったし』




大丈夫だよ、そんな傲慢な考えをした罰だったのかもしれない。

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