#おもいで ページ22
小さい頃、と言われてまず1番に思い浮かぶのは真っ暗闇の蔵の中だった。
何か悪さをした訳でもない、ただ言われた技が上手くできなかっだけ。誰かの邪魔をわざとした訳でもない、ただ私という存在が邪魔だっただけ。
寸分先も見えない暗闇から、今にも呪霊が出てきそうで、怖くて怖くて入れられる度に声が枯れるほど泣いた。その頃はまだ泣くことしか出来ない弱い子どもだったから。
でも4歳になったその年、いつも通り蔵に入れられ大泣きしていると、普段開くことがない蔵が突然開いた。父親が開けてくれたんだ、と思って嬉しくてその場まで走った。けれどそこには
「え、ガキじゃん。なんでいんの?」
白髪の男がいた。小生意気な喋り方、白髪、蒼い瞳。間違いない、"さとる"だ。お父様の口からよく出てくる「悟を越えろ」のさとるだ。
でも私は父親が迎えに来てくれたんじゃなかったんだ、という絶望から、思わず(当時の)宿敵の前で無様に泣き顔を、しかも号泣シーンを見られてしまったのだ。
「おい、泣くんじゃねぇよ!泣き止めってほら飴ちゃんやるから。聞こえてる?おーい」
いくら声をかけてくれても、私は悟の言葉に返事が出来なかった。それくらいショックだったのだと思う。
「はぁ〜〜、ガキの泣き止ませ方なんて知らねぇよ。てかこいつ言葉わかんの?ガキっていつから言葉覚えんの??」
大きな独り言を言い、頭をガシガシ掻きながら私に視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「なあ、おい。大丈夫だから泣き止めって」
悟が私に向かって手を伸ばしてきた。ああ、また殴られるんだ。泣きすぎて。反射的に身構えて謝る。
『ッッごめんなさっ……!』
しかし襲ったのは痛みでもなんでもなく、ぎごちなく頭を撫でる手の温もりだった。
ぽかんとして悟を見ると、悟も同じように私をぽかんとした顔で見ていた。
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あかね(プロフ) - 抹茶さん» ひえ!ありがとうございます!! (2021年4月19日 1時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - えっ…………………好きです← (2021年4月17日 22時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - クロノ@気まぐれ更新さん» ありがとうございます!続編もよろしくお願い致します! (2021年1月27日 0時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロノ@気まぐれ更新(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さいね…! (2021年1月26日 6時) (レス) id: 81556e3845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2021年1月26日 1時