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ほとんど真希が作った昼食。真依は嫌々という風を装いながらも、久しぶりの真希のご飯に喜びを隠せていないようだった。ウンウン、可愛いね。
「ねえ、Aの部屋見たい」
『え、そんな桃先輩困ります!家行きたいってノリで言われたら!』
「そう言ってるよ?」
3人の圧に負けて渋々見せることになった。もういっその事恵の部屋に入れようかと思ったけど、バレた時のリスクが高すぎるのでやめた。
私は優しい先輩だからな。
「うわー天井にポスターはキツいよ」
「ぬいぐるみ多いね…………」
「もの少ないわねぇ、実家から持ってくるもの無かったの?」
天井に貼ってあるポスターは言わずもがな北ちゃんだ。寝る時に目が合うという算段。悟はつけてくれなかったから建ちゃんにお願いした。「女性の部屋に入るのは……」と渋る建ちゃんを説得するのに随分と粘ってようやく折れてくれた。
言わば私の努力の結晶なのだ(違う)
ぬいぐるみは悟が全部買ってきたものばかりだ。28歳男性が可愛らしいぬいぐるみを抱いている姿は想像したくもない。
実家……。久しぶりに聞いた。私の中で実家はここであり、昔住んでいた五条家は、不特定多数の場所の1ヶ所を指す以外の何物でもなかった。
だって縁も情もとうの昔に捨てた。
「持ってきてない!あの家から与えられたものなんか要らなかったし、持っていく程物なんてなかったし」
嘘。本当は傑くんから貰ったぬいぐるみや、お菓子を買った時についてくるおもちゃ……所謂食玩。ラムネを飲んだあとのビー玉。宝物は沢山あった。
食玩は指輪やネックレスばかりだった。男子高生がそれを買うのにどれほど恥ずかしかっただろうかと今になって思う。ただ、私を喜ばせるために恥ずかしい思いをしてくれてたんだなと思うと、今更だけど置いてきたことを後悔している。
急に黙りこくった私を現実に引き戻したのは真依だった。
「あーあ、今日は歩きすぎて疲れちゃった。今日くらい好きなだけ甘いもの食べてもいいと思わない?桃」
「分かる、お菓子爆食いしたい」
「……そんなに歩いたっけ?」
センターテーブルを囲むように座った3人。苦笑を零して言った。
『コンビニでお菓子大量に買おう!私が奢っちゃる!』
去年「入学祝い」と悟から渡されたブラックカードを取り出して。
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あかね(プロフ) - 抹茶さん» ひえ!ありがとうございます!! (2021年4月19日 1時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - えっ…………………好きです← (2021年4月17日 22時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - クロノ@気まぐれ更新さん» ありがとうございます!続編もよろしくお願い致します! (2021年1月27日 0時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロノ@気まぐれ更新(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張って下さいね…! (2021年1月26日 6時) (レス) id: 81556e3845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2021年1月26日 1時