八月がずっと終わらなければいい【時透無一郎】

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並べて敷いた布団。
Aはどてらを着たまま布団に入った。
手を伸ばせばすぐ触れ合える距離にAがいる。









何故か心臓が鳴り止まなくて。









そんな僕を他所にAは静かに寝息を立てて眠っている。
呼吸に合わせて上下する肩が物語っていた。







顔にかかった髪の毛を耳に引っ掛ける。
端麗な顔立ちが露わになる。
どこか寝顔は年齢よりあどけなさが感じられた。









きっとすぐ、Aのお兄さんはAのことを探しに来る。
当たり前だ、たった1人の家族で妹なんだから。
あと何日僕は君といられるんだろう。









茹だるような暑さで目を覚ました。
夢か現実か分からない境界線の中、身体中に張り付く汗とは別に、何かが僕に纏わりついている。









纏わりついているんじゃない、抱きついてくるんだ。
それをしているのが誰か理解した瞬間すごい勢いで意識が覚醒した。









「ちょっ、A！？なにしてーーー」








最後まで言えなかった。
Aの様子があからさまにおかしい。
こんなに暑いというのにどてらを着て更に首まで布団を被っているのに震えている。
唇は紫を越えて青くなっていた。









「どうしたの？どこか痛いの？」









ゆっくり語りかけるようにAに聞いた。

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