アイロニー【伊黒小芭内】

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「何……してるんだ。そんなことをしてしまっては、君が死んでしまうだろう」

「死ぬつもりだったからいいの。小芭内くんと死ぬつもりだった」









衝撃の事実を口にして、Aは俺を抱く両腕の力を強めた。









「鴉から伝達があったの。小芭内くんが危ないって。居ても立ってもいられなくて思わず来ちゃった」









嫋やかに、上品に。けれど周りを暖かくするAの笑顔が見られない。自分の傷をここまで深く憎んだことはなかった。









「小芭内くん、置いていかないでね」


「それは俺の台詞だ」

「……私ね」









一呼吸置いてAは話し始めた。必死に意識を保とうと努力をする。









「死ぬ時は小芭内くんに頸を斬ってもらおうと思ってた。小芭内くんがいない人生がどうしても考えられなくて、どうやって生きてきたんだろう今までってくらい、小芭内くんが大切な存在になってた。私の世界の中心は小芭内くんだった」









俺の話を聞く隙すら与えず、Aは次から次に話した。









「小芭内くんに言わなきゃって思ってて、どうしても言えなかったことがあるの」









ポツポツと俺の頬を伝う彼女の涙が途切れた。俺が死ぬのが早いか、彼女が死ぬのが早いか。









「小芭内くんのことーーー」

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