17個目 ページ17
·
顔にかかった髪の毛を耳にかけ、俺に向けた花緑青の瞳は、自責、後悔、罪悪感に苛まれていた。
「数え切れないほど食べた。取り返しがつかなくて、死にたくて。でも死ぬ勇気なんてなくて。血の匂いを辿った先に小芭内くんに出会ったの」
「嗚呼、俺はその時にAに救われた」
「……本当のこと言うとね、小芭内くんのことも食べようと思ってた」
最低でしょ?と自虐的にAは嗤ったが、目は嗤っていなかった。しかしAが俺を外の世界に連れ出してくれたのに変わりはない。
「なら、どうして俺を逃がしたんだ?」
「小芭内くんの必死に生きようとする姿が息子たちに重なったの。旦那も倒れてから収入は殆どなくて、質素なものしか食べさせれあげられなくて、それでも自分たちで何とかしようって、自分の力で立って生きようとする姿が息子たちに見えて、気づけば手伝ってた」
Aが21歳と言ったのは、自分が鬼になった年齢が21歳だからといつか言っていた。逆算して考えるとAの子どもたちはおおよそ4、5歳以下だろう。
Aが見られなかった子どもたちの大きくなった姿を想像して、俺と重ねていたのだという結論に至るのは容易かった。
63人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美穂(プロフ) - 凄く素敵な作品でした^_^ (2022年6月12日 20時) (レス) @page26 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 永久さん» やっとこさ完結しました!イラストほんまにありがと!! (2020年6月2日 19時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - おー!完結おめでとう!!紹介ありがとう!!(色んな意味で泣 (2020年6月2日 19時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
夏巻 - エフェメラル頑張って完結したのでお知らせに参r(」^v^)」(森へお帰り) まじであかねさんの文章力分けて下しぇっ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ (2020年5月31日 13時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 夏巻さん» 読みます読みます!ありがとうございます! (2020年5月30日 21時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あかね | 作成日時:2020年3月16日 0時