雨の日 ページ7
雨の音に。
目が覚めると、すぐ隣に君の寝顔。
黒い艶のある睫毛と、きれいなラインの目尻、通った鼻筋と、１番好きな小さめの口。
全部、無防備にして、眠る君。
静かにして、聞き耳を立てないと聴こえないくらいの寝息を確かめてから、優しく前髪を触りたい。
起きないのを確認したら、おでこにキスしたい。
朝１番に、君の目に映るのが僕でありたい。
夜の終わりに君の目に映るのも、僕がいい。
「おはよ」
まだ夢かな。
「まだ降ってるから寝てて大丈夫だよ？」
「阿部くん…なんで、俺んちにいるの…」
「あはは！目黒！寝ぼけてる！」
よく見たらバスの中。
そうだ、ロケバス。
撮影中、振りだした雨で待機になったんだ。
「みんなは？」
「止むまで遊びに行ったよ」
言いながらまた本に目を落とす。
シトシトと降り続く雨の音と、本をめくる、紙の擦れる音だけがバスの中を満たして、このままこの空間に埋もれていたい気持ちになる。
少しの音も出しちゃいけないような、そんな阿部くんの横顔。
キレイだな。
何の本を読んでるんだろ。
よく見たら漫画！
「すっごい静かに読んでるから何かと思ったら…」
「目黒静かにして。今いいとこ」
「あ。俺それ読んだ、その後もっとスゴい展開…」
「ちょっ！言うなよ！」
漫画と分かった途端、ゆるくなった空気感。
身を乗り出して、漫画をのぞきこむ。
「このあと、こいつがさぁ…」
「わー！言うなよ！」
俺の口を抑えてきた。
やっぱり少し冷たい指先が、俺の頬に触れてる。
「ネタバレ禁止！」
めっ！って子供に言うときみたいな上目遣いで俺の口を抑えてる阿部くんの両手首を掴まえた。
嘘でしょっていうくらい、細い手首。
「ちゃんと食べてる？何でこんな細いの？」
「なにそれ、全然関係ないし、とにかく、黙っててよ？」
って言って、俺の手を振り払おうとするけど。
誰もいないバスの中。
このまま大人しく離すと思う？
掴んだ手に少し力をこめる。
しまったって顔、してるけど、手遅れだよね。
「警戒が足りないみたいだから、仕方ないよね？」
笑ってみるけど、阿部くんは、眉間にシワ寄せて、睨みをきかせて固く唇を閉じてる。
睨んだ顔も可愛すぎ。
ほんとは今すぐ食べちゃいたいくらい。
でも今はおでこにキスをする。
皆が帰ってきた話し声がする。
「続きは今度ね」
って小さく耳元で囁いて解放したら。
漫画が飛んできた。
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kome - ほしさん» はじめまして！コメントありがとうございます！こんな亀更新自己満世界観ですが、温かいコメント嬉しくて励みになります(^^)！お読み頂き感謝です! (2021年11月9日 6時) (
レス) id: 1a7faeea9b (このIDを非表示/違反報告)
ほし - ありきたりかもしれませんが…毎回読み終わるたびにお星様を押して既に投票済みです（無効）と出るのが悔しくて悔しくて…ってぐらい大好きです。何度読み返しても大好きです。 (2021年11月8日 18時) (レス) @page20 id: b50c497d6b (このIDを非表示/違反報告)
kome - まるめさん» コメントありがとうございます(^^)！なんだかんだうまくまとめて次へ進みたいmmさんです(笑)、お読み頂き感謝です！ (2021年3月4日 23時) (レス) id: 2363d5dc54 (このIDを非表示/違反報告)
まるめ(プロフ) - ホームワークの最後、上手すぎやしませんか！？好きです… (2021年3月4日 16時) (レス) id: 1093df9400 (このIDを非表示/違反報告)
kome - まるめさん» 嬉しいコメントありがとうございます！一気読みして頂けて嬉しいです(^^)abさんのツンデレが好きで、ついつい塩対応方面ですが、共感して頂けて良かったです。お読み頂き感謝です！ (2021年2月22日 23時) (レス) id: 2363d5dc54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kome | 作成日時：2020年11月23日 6時
