Labyrinth chapter : 2 (ページ8)

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鎖骨に映る赤い華

それはたーくんが私に抱いている感情である。

初めて出逢った時、一気に心を奪われた。
何もかも、私にとっては鮮やかに見えた。

周りからは『独占欲が強い人と付き合うとその人しか見えなくなる』と言われたとしても。

でもそれでいい。

たーくんは絶対、私の事を裏切らない。

熊谷「ただいま」

「おかえりなさい！」

木浪さんに抱いた感情の名前は初恋でも運命でもなんでもなかった。ただの優しいお兄さん、だったんだ。

でも、たーくんに抱いた感情の名前ははっきりとわかる。

『この人と添い遂げる』ということ。

熊谷「久しぶりのあっちの仕事気楽だわー」

「そうなんだ、なんかT-SHOPにいた時よりも顔がスッキリしてる気がするのは気のせい？」

熊谷「そう？たぶん無意識に気持ちが軽くなったんじゃない」

「なるほどね」

今日あった出来事はまだ自分の言葉で話せる自信が無い。

話したくても、何か自分の心の中でつっかえてしまう。

熊谷「今日遅くなったからご飯、買ってきたよ」

「えっ、ありがとう～」

優しさだってある。

その上、私に対しては感情を抑圧なんてしていない。

無邪気に笑う姿は少年みたいで可愛くて、

でも愛の言葉を伝える時は王子様みたいにかっこよくなる。

離れていても、

好きという気持ちは消えることなく。

お揃いのピンキーリングを貰ったあの瞬間から

私の中でひとつ、木浪さんを諦める覚悟を決めた。

初めてキスをされた日

初めてお泊まりをした日

初めて身体が繋がった日

私にとっては眩しすぎるぐらいの経験を、
知らなかった世界を教えてくれたのはたーくんなの。

熊谷「なんかあった？」

「ううん、いろいろとたーくんとの出来事思い出してて」

熊谷「俺、Aと出逢って何もかも変わったな」

「そうなの？」

熊谷「うん。今まで女の人と関わるとしても仕事でとか、それこそお客様とかしか無かったからさ、どうしても緊張してうまく話せなかったんだ。でも、Aは違う。なんだろな、初めて抱いたんだよね、『好き』って感情。」

「意外だよね、でも嬉しい」

熊谷「意外か？この子は俺が守らないとって思えたのは、Aが最初で最後だと思う。断言できる。

だからこれからも、俺の隣で笑っていてほしい。」

「うん」

たーくんの隣で幸せに生きていきたい。

また私達は強く、結ばれていく。

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