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石川「急にごめんね。俺から話したいことがあって。」
駅前のタリーズコーヒー。
石川さんは近くのコインパーキングに車を停めてやってきた。
石川「熊谷と本気で付き合ってるんだ、」
「あ…はい」
石川「ほんとにそれでいいのかなーって」
顔に少しだけ、恐怖を感じる。
でもここで引き下がらないのが成長した私だ。
「それでいいんです。」
石川「あいつのどこを好きになったの?」
「優しさと、力強さと、かっこよさです」
石川「ふーん」
あまり攻撃にはなっていないみたい。
石川さんは横を見たあと、私を見てニヤリと笑った。
石川「それなら俺でもあるけどね」
「………えっ?」
あまりにも反撃が私の心にダメージを喰らう。
石川「そんだけの理由であいつと付き合ってるんでしょう?」
「そんだけの理由って…」
石川「ぶっちゃけ言うと、あなたが熊谷と釣り合わないと思うの、俺は」
「やめてください」
多少の足掻きぐらいはさせてくれ……
もうこれ以上、誰かを好きになったり、
誰かを傷つけたりなんてしたくない。
石川「後悔するよ」
「私は何一つ後悔しません。」
石川「それでいいと思ってんだな、」
「はい」
私の目は本気だった。後悔なんて1ミリもしていない。
こんなに愛してくれてこんなに優しくしてくれているのに、
性格悪いだの、演じているだの言われたくない。
石川「あいつの裏の顔教えても後悔しない?」
「裏の、顔?」
石川「あなたには見せてない、あいつの本当の顔」
「聞きたくないですけど、少しだけ聞きたいです」
石川「実は、前の店長の梅野さんに媚を売って売上を伸ばしてた。あいつの実績ではなくて、梅野さんのお陰で看板になった。顔がいいからって調子乗ってたんだよ。木浪さんは努力を重ねて店長の座まで上がったのに、あいつは人の力じゃないと上には這い上がる事が出来ない。それに苛立ちを覚えた俺があいつを排除した。許せないから。」
そんな、裏の顔があったって
私はたーくんの愛を終わらせたくない。
石川「それでも、あいつの事好きになる訳?自分が悪くなくても、あなたに責任を擦り付けられるかもしれないんだよ?」
「それと、私達は、違います。」
石川「違うとは大概言えないけど」
「正直、熊谷さんと一緒にいて嫌だという感情を抱いた事が無いので」
簡単に心は、折れない。
私達は深い愛で結ばれているから。
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作者名:u | 作成日時:2024年3月18日 11時