𝘚𝘦𝘪𝘺𝘢 / ・ ページ4
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俺のデートは、桜の花びらのように呆気なく散った。
奪い返す余力もない。この場から暫く動けなかった。
きっと、彼女が急に寒気が、と言ったのは、
熊谷が彼女の目に映ったからだと俺は察する。
そうじゃなかったら……
「俺は、逢いに行くべきなのか」
思わず呟く。
ここで立ち止まってたら、Aは熊谷のものになってしまう。
俺はどこにいるか分からない、彼女を必死に探し始めた。
．
熊谷「…なんでそんなに苦しい顔する訳？」
「いや、たーくん……私、謝りに行きたい」
熊谷「何を謝るの？木浪さんと勝手に約束をしてるAが悪いでしょ？もうわかったんだから謝るなんて必要ない。」
「違う、違うの……」
愛は、時にナイフのように心を傷つける。
熊谷「違わない。」
何が正解で、何が不正解なのか、
どうしようもない感情が体中に蔓延っていく。
熊谷「何が正解か、教えてあげようか？」
「…え、」
熊谷「俺と一緒にいること。これが正解。」
ずっと、愛してくれる。たーくんとなら、幸せになれる。
そう思い込めば楽なんだ。
私はなぜこの事実に気づかなかったのだろう。
「傍にいたい」
熊谷「うん、そばにいるよ」
お願い、木浪さん。私の事をこれ以上好きにならないで。
熊谷「だからAもどこにも行っちゃだめだからね。」
「わかった」
．
電話をかけても電話には出ない。
LINEを送っても既読がつかない。
熊谷がAと出会ってなければ、
あの日、俺をバックヤードに追いやってまで
関係を持ってしまうなんて思ってもいなかった。
正直、俺は熊谷が苦手だった。
T-SHOPにやってきた時から。
飄々として、皆と仲良くしたい俺と真逆な人間で、
あまり感情を表に出さない性格で、
Aに対しては甘くて優しい彼氏を演じていて、
俺はあいつの考えていることが、全くわからない。
「もう諦めるか」
なんて携帯を置くと予期せぬ出来事が起こった。
「ん、は……………？」
A木浪さん、これ以上私の事好きにならないでください。
Aの本心な訳が無い。
彼女はまだ、俺の事を想っているはず。
木浪聖也熊谷に言われて送った?
既読がすぐつく。
今までのLINEも全て。
Aいいえ。これが私が出した結論です。
嘘………
って、言ってくれよ。
．
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作者名：u | 作成日時：2024年3月18日 11時
