◉ 2017.04 / 花見デート ページ3
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木浪さんと桜を見に新宿御苑にやってきた。
木浪さんと本格的なデートはこれがはじめてで、
緊張で足がガクガク震えていた。
木浪「A、おまたせ」
高校2年生になった私は、
1年前の私からは想像つかない人になっていた。
木浪「行こっか」
私の手を優しく繋いでくれる。
木浪さんはたーくんと違って独占欲はまだ感じられない。
木浪「桜綺麗だな〜」
「だね、もうこんなに満開なんだ」
木浪「東京の桜って俺の地元より1ヶ月ぐらい早く咲くんだ〜」
「そうなんだ、あ、聖也くんって地元どこなの、」
木浪「ん？俺言ってないっけ。俺青森だよ」
青森…
私の生まれ育った場所は山形だから、そこそこ近い。
木浪「そんなAは？」
「私、実は兄が日陽高校に入学する前までは山形県に住んでいまして」
木浪「えぇ！そこそこ近いじゃん！嬉しい〜」
木浪さんの笑顔を見ると、胸がキュンとなる。
木浪「なんか食べ物でも買っちゃう？」
「そうだね、さっきスターバックスあったよ！」
木浪「お！いいね〜！じゃ、行こっか」
この幸せな時間を邪魔しないで
普通に繋いでいた手を、敢えて恋人繋ぎにする。
木浪「A、なんかあった？」
「………いや、なんでも」
木浪「急に顔色悪くなったから、さ。着いたよ、スタバ」
「あ、ほんとだ、私…アーモンドミルクラテのホットで」
木浪「一緒に行かないの…？」
「聖也くん頼んできて」
木浪「だからなんかあったでしょ、教えて」
「私、ちょっと寒気が」
木浪「え、無理しないで。帰ろ。」
「いいよ。せっかく聖也くんとデートしてるのに………」
木浪「俺がやなの。」
涙がこぼれ落ちる。
その涙を後ろから誰かがティッシュで拭った。
「…………っ、」
木浪「熊谷」
熊谷「デート中にすみません。木浪さん泣かせたんですか？」
木浪「違う。俺は泣かせてな…」
熊谷「…………Aの事、なんもわかってないですね」
熊谷「ね、木浪さんとデートなんて。Aは誰のもの？」
「…たーくん」
熊谷「でしょ？あの人も諦めてくれたらいいのに。しぶといからマジでムカつく。」
桜の花びらたちは満開に綺麗に咲いているけど、
私の恋はまだ、蕾のままなかなか咲かせることが出来ない。
熊谷「俺は何もかも、Aと一緒に思い出を作りたいの」
あまりにも美しい顔で、愛の言葉を私に伝えてくれる。
だから私はその愛を100%、受け取りたい。
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作者名：u | 作成日時：2024年3月18日 11時
