𝘚𝘦𝘪𝘺𝘢 ページ16
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亮は最近変だ。
俺に対して凄く構っていたはずなのに、
突然構うことも無く新人の大津くんの教育担当を自らしたいと
誠志郎さんにお願いして今、一生懸命教えている。
「亮?」
石川「なんですか」
「なんか最近変わった?」
石川「今手続き中なんで話しかけないでください」
ぶっきらぼうに返され、頭を抱える。
坂本「聖也、お前そろそろ諦めた方がええで」
「だから誠志郎さんには関係ないでしょ。」
坂本「俺はお前が心配なんだわ、何個年が離れてると思ってんだ」
「年齢なんて関係ないんです。ほら、年の差婚とかあるじゃないですか。ほんとに可愛いんです。でもなんであんなやつと…」
坂本誠志郎さんは俺の一期上の先輩。
ショップの店員では剛さんと同じく最年長の方だ。
俺が店長になったのが不満なのか、知らないけど
最後の最後まで誠志郎さんは熊谷の味方を貫いていた。
坂本「熊谷と幸せに過ごしてたぞ」
「……は」
坂本「先週会った。二人とも手繋いで幸せそうだった」
「だけど」
坂本「もう後がないやろ。LINEもブロックされてんだし。諦めろって。」
そう言い残してバックヤードからお店に出た。
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売上を本社に送り、20:00過ぎにお店を出る。
今日もひとり、寂しい夜を過ごさざるを得ない。
でも俺は衝撃の姿を見てしまった。
「嘘だろ」
黒のワンピースにレザーのジャケット、
厚底スニーカーを身に纏う彼女の隣にいたのは、
俺の味方だった亮だった。
「亮、お前っっっ」
許せるわけない。俺を騙したんだあいつは。
味方ですよって言葉、全て嘘だったんだ。
石川「A、お店に入ってて」
A「あ、はい、わかりました」
「おい亮」
石川「俺がずっと木浪さんの味方でいると思いました?」
「ふざけんなよ、俺の…」
石川「我慢してたんですけど、木浪さんそろそろ諦めた方がいいですよ、彼女も嫌そうにしてましたし。ってか、熊谷から引き離すという面では同じなんですけどね。」
「どこにいるのA」
石川「秘密です。夜遅いんですし帰ってください」
「は…いい加減にしろお前」
石川「あーあ、木浪さんってほんとチョロいっすね」
俺はあんなやつを信じちゃいけなかったんだ。
あんなやつを信じたから、バチが当たったんだ。
泣きそうになりながら車を発進する。
カーディオから流れる切ない曲たちに
感情が溢れて嗚咽しながら涙を流す。
好きだった
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作者名:u | 作成日時:2024年3月18日 11時