◉ 2017.05 ページ14
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更に動きだしたストーリー、複雑に絡み合う人間関係。
大津さんを味方にしたその日から、
何かあったら私を守ってくださいと告げた。
＿＿＿5月
新入生も練習に参加し、本格的にチームが動き出した。
マネージャーの舞郁ちゃんも仕事を覚え始め、
チームに欠かせないそんな存在になっていた。
梶谷「凄い…なんか夢みたいですね」
目をキラキラさせてマネージャーの仕事をしている
そんな彼女を見てなんだか微笑ましくなった。
「夢みたい、か…」
梶谷「ずっとやってみたかったんです。誰かを支えることで自分が成長できる、そんな気がして」
「舞郁ちゃんは立派だよ。歳下なのに」
梶谷「えっ、A先輩の方がうんと大人ですよ」
「どうして」
梶谷「教え方とか丁寧だし、先輩方とコミュニケーションだって出来るじゃないですか。まだ先輩方と上手く話せないし…分からない事だらけでまだまだ一人前じゃないって言うか」
何かを誰かに教えることははじめて。
だからこそ試行錯誤して分かりやすく教えているつもりだ。
それがもし彼女に伝わっているとするならば、
私は先輩としての役割をしっかり全うしている、と思う。
「まだ一人前にならなくてもいいんだよ。焦らずじっくりとコツコツとやれば、一人前になれるんだから。」
自分にも言い聞かせる。
今は最高の仲間達と甲子園出場に向けて頑張ると。
監督も含め、全員がアットホームなのが
日陽高校野球部のいいところである。
日も暮れ、月が昇り始めた頃、部活が終わった。
吉野「よっ」
「あぁ翔彩くん」
吉野「熊さんとどうなん？順調？」
「おかげさまで。翔彩くんも色々とありがとね」
吉野「当たり前やんけ〜。見ててこっちが幸せもらえてるわ」
「そんな笑恥ずかしいなぁ、でもなんか嬉しいかも」
吉野「あっそや。熊さんモデルやったんやってな」
「実はね。私も聞いた時驚いたもん。
だからそんなに顔がいいのか、と納得したよね。」
吉野「俺もよく買ってるメンズ雑誌に載ってたから
優深さんっていう芸名だったけど『えっ！』ってなったよ笑」
へぇ…メンズ雑誌のモデルさんなんだ…
凄い遠い存在にいる気がして
私が隣にいてもいいんだろうか、と不安に駆られる。
吉野「結婚したら、結婚式招待してなっ」
「まだ先過ぎてわからんけど、したらもちろん呼ぶよ！」
翔彩くんは太陽みたいな笑顔で電車を降りた。
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作者名：u | 作成日時：2024年3月18日 11時
