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私の目の前にいたのは先日電車でお会いした
可愛らしい男の方だった。
はっきり覚えていたからこそ、
偶然の再会に驚きが止まらなかった。
?「覚えてくださっていたんですか。」
「覚えてました。こんな偶然って本当にあるんですね〜」
?「僕も嬉しいです。あっ、僕の名前言うの忘れてました」
彼は『大津亮介です』と言った。
背もお兄ちゃんぐらい。だが顔が可愛らしい。
「あ、中野Aと申します」
大津「中野Aさん。名前聞けて嬉しいです〜」
大津さんは時々笑みを浮かべながら視線を携帯に移していた。
「あの……大津さんって普段何されているんですか?」
大津「僕…T-SHOPで働いているんです」
え…?
T-SHOP…?
大津さんから発された言葉に動揺が隠せない。
大津「店長さんとか周りのクルーさんがほんと手際良くて
自分はまだ新人な者だから上手く行動できないんですよね」
待って、T-SHOPの店長って……
大津「あ、ごめんなさい、嫌な思いさせちゃいました?」
「いえ…違うんです、色々ありまして」
大津「色々…?」
「はい、ま、大丈夫ですよ、気にしないでください」
意外と世間って狭いものなんだな。と感じる。
大津さんは木浪さんだって知っている。
いつ入ったかはまだ聞いてないからわからないけど、
たーくんのことも、もしかしたら知っているのかもしれない。
大津「何か聞きたいことありますか?」
「…え、あー、T-SHOPっていつ入られましたか?」
大津「この4月です。」
なら、たーくんの事は知らない。
少しだけ安堵の表情を浮かべる。
大津「木浪さん知ってたりするんですか」
「え、木浪さんって…まぁ…はい、お世話になった人なので」
大津「僕、あの人あまり好きじゃないんですよね〜」
やべ、言ってしまった、みたいな顔をする大津さん。
私は思わず大津さんを味方にしようと心に決めていった。
大津「僕、普段坂本さんと一緒に業務をしていて、坂本さんが休憩中に色々と木浪さんのお話を教えてくださったんですよね。彼女さんが別の男性とお付き合いされているのに、あの手この手を使って自分のモノにしようとされているらしくって。優しそうな方なのに怖いなぁと思いまして。」
「大津さん、その彼女さん…私なんです」
大津「えっ」
「だから大津さん…私の味方で居てくれませんか」
出逢って2回目の人に懇願する自分。
大津さんはもちろんです、と答えた。
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作者名:u | 作成日時:2024年3月18日 11時