𝘚𝘦𝘪𝘺𝘢 ページ11
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A「聖也くんのLINE、ブロックしてます」
彼女から告げられた言葉は俺からしたら衝撃だった。
熊谷に言われてしているのであれば、
熊谷が何を考えているのか俺にはわからない。
「………………は？」
A「だから忘れてください。私のこと」
「解除して」
A「なんで私のことなんて好きになるんですか」
「好きになったからだよ。ただそれだけ。」
俺は単純な人間だ。
こんなに好きで好きで堪らないのに、
彼女はなぜ、俺より性格が悪い熊谷を好きになってるんだ？
「そういえば石川から何か言われた？」
A「石川って、…………あぁ、はい」
亮は俺の味方だ。俺の事を慕ってくれる可愛い後輩。
だからお願いした。Aの気持ちの矢印を俺に向ける為に。
A「私は正直な気持ちをお伝えしたつもりです」
「なあ、目、覚ましてくれない？」
A「私達は深い愛で結ばれているので
簡単に引き裂けません。いい加減諦めてくれませんか。」
俺の前からそうやって言って消える。
熊谷に洗脳されている彼女を早く救いたいのに。
．
熊谷「あ…お久しぶりです」
俺は当本人を喫茶店に連れて話を聞く事にした。
「お前、Aの事洗脳させようとしてない？」
熊谷「そんなつもりは…」
「俺を拒絶してる気がするんだよ。
LINEもブロックされているし。それ指示したのお前だろ？」
熊谷「は？木浪さんが執拗いからですよ、俺の本心はそろそろ
Aの事を諦めて光莉と復縁してほしいんです。」
「光莉はもう好きになれない」
熊谷「そうやって光莉の事も傷つけるんですね。」
「……傷つけてないし、お前ってほんと性格悪いな」
熊谷「根拠なしに勝手に決めつけないでください」
珈琲を飲み、熊谷は怒ったままお店を出た。
出逢って間もない時はあんな胸糞悪い男だと
思わなかったのにな。
人は見かけによらない、ってこういう事なのかな。
もういっか。諦めたらいいんかな。
目の前の桜は風によってハラハラと散っていた。
でも…もう一度、Aの本当の気持ちを引き出したい。
桜の花びらが全て散る前に、
互いに好きだと言い合っていたあの時みたいな二人に…
熊谷「A〜今日何食べたい？」
A「私オムライス食べたい！」
熊谷「じゃ一緒に食材買って作ろっか、」
戻れたら。
道沿いの川に映る俺の顔は、あまりにも悲しく映っていた。
．
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作者名：u | 作成日時：2024年3月18日 11時
