気まぐれごちゃまぜアニメ短編集。3冊目 (ページ12)

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続ページ12

貴女side

私の部屋へと連れて行くと、父さんと母さんは私を玄関で待っていたようだった

ずぶ濡れの祥吾の姿を見ると慌てふためいたが、快く迎え入れてくれた

『祥吾、お風呂入っておいで』
「・・・・」

声をかけると静かに頷き、ずぶ濡れになった靴下や上着やらをそのままに風呂場へと向かった

「どうしたんだろうね、祥吾君」
【彼に何かあったのは間違いないな】
「まあ、僕達に出来ることと言ったらココアでも淹れるぐらいだね」
【私達が口出しして良いことじゃあないからな】
『ありがとう父さん、母さん』

優しい父と母に心から感謝をして、私も風呂場へと向かった

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『祥吾、入るよー』

ドアを開けると、まだ着替えていないようで脱衣所で立ち尽くしていた

『祥吾、取りあえず風邪ひいちゃうから上着とワイシャツ脱ごうよ』
「・・・」

幼子に言い聞かせるように言うと無言で小さく頷いた

しかし、動く気力を持ち合わせていないようなので

私が脱がせることにした

脱がした上着をハンガーにかけて、ワイシャツのボタンを一つ一つ外していく

下から見上げてみるけれど、濡れた前髪をかき揚げると

感情が全て抜け落ちた能面のような表情だった

ワイシャツを脱がし終えて洗濯機の中へ放り込む

冷え切ってしまった身体にタオルをかける

風呂に入るより前に、聞いた方がいい

手を握り祥吾をじっと見つめる

『どうしたの？』

その一言で辛いのを誤魔化すかのように無理に笑って見せた

ただ、私とは目を合わせない

「俺は、俺はバスケ部にはいらねえってよ！赤司の野郎に退部させられちまった、ハハッ」
『・・・祥吾』

私から目をそらしたままで空元気を出して辛いのを必死に必死に隠そうとしている

それがあまりにも愛おしくて、あまりにも不憫で

「まあ別にどうでもいいんだけどよ！バスケなんて、只のくだらねぇ遊びで」

私は少し背伸びをして祥吾の背中へと腕を回す

大雨の中何もせずただただ打たれていたようで、死人のように体温は感じられなかった

『大丈夫だよ、大丈夫だから』

安心させるようにぽんぽんと背中を叩く

「頼む、A、頼む、お願いだ、一緒にいてくれ、お願い、頼む、離れないで、くれ」

縋りつくように私の背中に腕を回し力強く抱きしめる

痛くて痛くて苦しいけど、それすら愛おしい

『大丈夫だからね』

だって君と離れたら私死んじゃうもの

ふふふ、これって相死相愛だね

end

リクエスト有難うございました！