気まぐれごちゃまぜアニメ短編集。3冊目

続 ページ18

No side


背中から剣で貫かれた、誰もがそう錯覚した

そう十刃でさえも

虚夜宮に降り注いだ強烈な霊圧は

藍染惣右介以外の人間に一瞬でも死を錯覚させるものだった

藍染惣右介は捕虜として閉じ込められていた井上織姫を一時的に開放し

彼女を連れ霊圧が発生した場所であるAの部屋を訪れた


そこには十刃も来ていた

今なら子供でも背中を刺せるほど彼らは隙だらけだ

それだけ目の前に広がる惨状は凄まじいもので彼らを動揺させるには十二分だったのだ


燃やし尽くされ最早見る面影もない屍になってしまった優に五十は超える破面

部屋の中心の立つ彼女―――Aは誰とも知らぬ頭蓋骨を恍惚とした表情で撫でる

ロリは、灼熱地獄が腹部に深々と刺さり荒い息遣いとなっているメノリを涙ながらに抱きしめる

彼女は周りの人間など、藍染すらも目に入らない程自分の世界に浸っている

今の彼女の脳内を支配しているのは、快感と喜び

自分に向けられた剣先、浴びせられる殺気、自分を赤く染める返り血

戦闘狂の彼女には堪らないのだ

ノイトラでさえも近づけない中で、藍染だけは何事もなかったかのように彼女に近づいた

彼女と違い彼の脳内を支配するのは、どす黒い嫉妬

骨だろうが何だろうが彼女に触れられる他者が許せないのだ


「A」


名前を呼ぶと彼女はゆっくりと彼に目と身体を向けた

そこでやっと彼女は現実へと引き戻され、悪戯がばれた子供のような気まずい顔をした


『あー・・・・やっちゃったなあ』


自分に注がれる十刃の視線

ロリの怯えたような表情

自分によって虫の息になったメノリ

自分の手の中の熱い骨

その骨に冷たい視線を浴びせる恋人

『織姫チャン、この子治してもらってもいい？』

その場にいた唯一の人間に視線を合わせると彼女は化物でも見るかのようにAを見た

完全に怯えてしまいその場から動けない

Aはめんどくさそうな顔をすると織姫を冷ややかな目で見てこういった

『治せ』
「・・・はい」

織姫はメノリに近づき自前の能力で彼女を治した


『自分の居る場所理解できた？』


にっこりと可愛らしくロリに微笑みかけ

彼女の耳元で囁いた


『ここは地獄の一丁目、だよ』


私に嫉妬？

思い上がるなよ





end

リクエスト有難うございました〜！！もう最後暴走気味でしたけど楽しかったです！！
藍染様を物扱いされて完全に堪忍袋の緒がキレちゃった轟ちゃんでした〜！！
またよろしくお願いします！！

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