仮眠室の住人３ (ページ35)

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side ; 花房

昼食後、どたばたと廊下を駆けるスタッフの姿を目にした。聞くところによると、近くの工事現場で崩落事故が起き、もうすぐ負傷者27名が運び込まれてくるらしい。

救命室へ集まった先輩たちが、次々と持ち場を見つけて処置に加わっていくのに対し、わたしは見たことのない状況にただ立ち尽くしていた。そんなとき、ほかの人を寄せつけない絶対的なオーラとそこらの医師とはちがう技術を持ったふたりが救命室に到着した。

渡海「いいよ、ここでやるから」

急変した患者をオペ室へ運ぼうとする医師を止め、ここで処置をするという渡海先生に、世良先生も戸惑っている。

渡海「Aちゃん、開胸セットと電メスもってきて」

渡海先生のとなりを離れたAさんと目が合う。タジタジになっているわたしに、Aさんが深呼吸の真似をするからその動きを同じように繰り返すと、不思議と心が落ち着いた。

A「あっちにいる患者さんの消毒よろしくね。もし出血が増えてきたら声かけて。大丈夫、美和ちゃんならできるよ」

そう言って、髪を揺らしながら渡海先生の元へもどるAさん。後輩想いのやさしい彼女はわたしの憧れで目標とも言える存在。わたしの目利きは間違えていなかった。

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