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ユキ「 Aちゃんはさ…… 」
振り向けなかった。もう、すぐそこにきている熱いものが溢れ出てしまいそうで。悔しいとか負けたとか、そんなかんたんな言葉で片づけられない気持ちは涙に変わる。だけど、この姿をあなたには見られたくない。
ユキ「 二宮くんの恋愛対象に入ってると思ってるの？ 」
「 ……ぇ、 」
ぼこぼこに殴られた心を容赦なく踏みつける彼女の言葉。
ユキ「 幼なじみが “ 彼女 ” になれるわけないじゃん 」
返す言葉もなかった。
“ 彼女になりたい ” その気持ちだけで、ずっと想い続けてきたのに。仮彼女だって友達にも家族にも自慢げに話していたし、かずくんもしょうがないな〜って許してくれていたと思ってたのに。そんなの……ばかみたい。
重たいドアを開いて、長い廊下をふらふらになりながら歩く。
つい最近、どんなことがあってもかずくんを想い続けるって言ったばかりなのに。すぐにへこたれるなんて、らしくないってわかっているのに。どうしようもないくらい大粒の涙が頬を濡らす。
ナナ「 ちょっとA！！どうしたの！ 」
智「 Aちゃん！？ 」
階段の踊り場で話をしていたらしいふたりが、目を真っ赤にしたわたしを見つけて走りよってくる。だいすきなふたりの声に安心して、わたしはずっと泣いていた。一生分の涙を流して、枯れちゃうくらい。やっと落ち着いたのは、夕日が沈む頃だった。
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
