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呼吸を整えながら、たまに唇をきゅっと噛む仕草はなにかを抑えているようにみえた。熱を帯びた指先が髪に触れると、くすぐったいような、じんわりと涙が出そうな、不思議な感覚になる。
掠れた声で「 はやく行け 」なんて、苦しそうに言うから。その場を離れることが出来ずに、ただ彼がなぞる指先を感じて追いかけた。
和也「 はじめて、だろ 」
「 ……… 」
和也「 こんな形でいいのかよ 」
シャツの間から入ってきた手のひらが、やさしく腰のあたりを撫でる。これでいい。このまま………っ、
和也「 お前だから選択肢あげてんの 」
「 ……… 」
和也「 今シたら……、俺ら終わるよ 」
終わるよ………。頭のなかで繰り返しぐるぐる回っている彼の言葉は重くて。今の関係のままコトが済んでしまえば「 彼女 」それにはなれないかもしれない。そういうことをするお友達、恐れていたものになるかもしれないと、先に感じていたのはかずくんだった。
和也「 俺は大人じゃないのよ。まだまだ未熟な男子高校生で自分では歯止めが効かないときがあんの。だから、ほら、Aが止めて 」
下着を外そうと上にあがってきた手を掴む。なにも言えなかった。逃げるなんて、もっと出来なかった。止めて、その指示に従っただけ。
ホッとしたのか、いつも通りのかずくんに戻って「 ちょっと頭冷やしてくるな 」って微笑む後ろ姿を、ぼやけた視界のなかで見送った。
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
