063 ページ28
.
ふたり並んでテレビを観ながら、かずくんが作ってくれたパスタを食べる。わたしのだいすきなトマトをたくさん使ってくれたミートパスタは、自分でつくるものより、何倍もおいしかった。
おいしいね、って繰り返すわたしに照れ隠しをしながら「 俺がつくったからな 」なんて強気なことを言うかずくんが可愛くて。世の中のカップルのみなさまはこんな風にお家デートをしているのかと思うと、うらやましすぎて叫びたいくらいの気持ちになる。
「 あ、花火大会だよ 」
和也「 花火ねぇ…… 」
お昼の情報番組も夏休みの企画ばかり。やっぱり、夏休みに花火大会は欠かせないイベントのひとつで。浴衣を着せてもらって、かわいいヘアアレンジをしてもらって、かずくんに手を引いてもらう花火大会。今年はどんな浴衣を着よう……。
和也「 浴衣ってえろいな 」
「 またそんなこと言って…… 」
画面の女の子を見極めるように真剣な眼差しをむけるから、近くにあったリモコンでぷちっとテレビを消した。一瞬だけびっくりした表情をみせたあと、理由がわかったのか悪い顔をして詰め寄ってくるかずくん。
むすっと不貞腐れているわたしのほっぺを摘んで、困ったように微笑む。「 どうしたの 」と尋ねてくるけど、なにを話せばいいかわからない。ただ、心がムズムズするの。
「 ここに女の子いるの 」
和也「 ん、いるね。かわいい子が 」
さらりと髪を耳にかけられて、もう一度ぐいっと距離を詰めてきた彼の顔がすぐそこにあって、息をするのも忘れそうになった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 615人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
