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ちょうど、お昼の時間だろうか。おなかがすいたとキッチンのほうへ向かうかずくんについて行く。小さい頃はよくこのお家で走り回っていたけど、お互い成長するにつれてそんな機会もなくなった。久しぶりにお邪魔したそこは綺麗好きのかずくんママらしい、とても清潔感のある理想的なキッチン。
和也「 パスタ食べる？ 」
「 かずくん作れるの？ 」
和也「 料理下手なお前と一緒にされちゃ困るんだけど 」
棚から見つけたパスタ麺の袋。かずくんが料理をしているところを見るのは、中学生のときの調理実習以来で。トマトを切っている姿だけでも、かっこよくてたまらない。人並み程度と彼は言うけど、かずくんには出来ないことがないのかなってくらい何でも器用にこなす。
「 これ以上モテモテになってどうするの 」
和也「 は？ 」
かずくんの後ろに回って、料理中の背中にぎゅっと抱きつく。かっこいいなぁ、もう。「 危ないからあっち行ってろ 」なんて口では言うけど、ときどき後ろを向いて頭を撫でてくれるの。
今日のかずくんのTシャツが黒色でよかった。白色だったら、もしリップがついたとき目立って汚してしまうところだったよ。そんなことを考えながら、もう一度背中に顔を埋めてみる。
「 すき！ 」
和也「 どこ向いて言ってんの 」
「 かずくんの背中 」
ふーん。と素っ気ない返事。すると、俯いていた顔をくいっと上げられて、わたしとかずくんのふたつの視線が交わった。
和也「 ちゃんとこっち向いて言ってみ？ 」
ずるいよ、そんなの。
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
