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はじめてのキス。わずか数秒の間に起きた出来事は頭のなかを真っ白にさせた。まるで夢を見ているかのような、突然のファーストキス。わけもわからないまま、再びくっついたそれはわたしに知らない世界を教えてくれる。
「 ……やらしー顔 」って、独り言みたいにつぶやくかずくんを見ることが出来なくて、ゆっくり目を閉じて現実逃避を。だって、嘘みたいだもん。あのかずくんがわたしに？どういう気の変わりようなのよ、ばか。
「 うるさぁい 」
和也「 あなたの顔真っ赤なんですけど 」
つんつんってほっぺを触るかずくんのペースに巻き込まれたまま。両手で顔を隠すと、いじわるな声で笑ってくる。いつもだったら相手にしないようなわがままだったのに、どうしてキスなんて……。いろんな女の子にいっぱいキスしてあげてたから、感覚がおかしくなっちゃったのかな。キスのひとつやふたつ、かずくんにはどうってことないものだったりするのかな。
「 はじめてのちゅーだったの 」
和也「 ん。 」
「 かずくんにとられちゃった 」
和也「 なに、不満？ 」
ちょっと拗ねたような表情で言い寄ってくる彼は確信犯だ。そんなことないよ、ってわたしが言うことをわかって言ってくるんだから。
「 わたしはかずくんのなに？ 」
和也「 かわいい幼なじみ……って言いたいところだけど 」
真剣な声色で逃がそうとしない彼。
和也「 Aは、 」
そのとき、保健室にだれかが入ってくる足音がした。
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
