となりのプリンス ( 2 ) (ページ21)

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056 ; kznr ページ21

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小さな唇から漏れた艶っぽい音。今までいろんな女の声を聞いてきたけれどハッとするような、はじめての衝撃を受けた。たった一瞬の、ため息にも似たそれが急に愛おしくて。おでこにキスしてやったくらいで、すげーうれしそうに目をキラキラ輝かせて「もっかい！」ってとんでもないことを言いだす。

「どういうつもりだよ」

A「 ……かずくんこそ。」

本当にそうだ。どういうつもりだよ、俺。言い寄ってくる女は片っ端から抱いて、自分の欲を満たすだけの恋愛とは言えない関係をつくってきたのに、それも全て切るようになっちゃって……。心の変化にいちばん戸惑っているのは自分だった。

A「女の子にどんなちゅーするの？」

ったく、そんな誘い方どこで習ってきたんだよ。だれに教え込まれたんだよ。彼女が首に手を回してきて、無邪気に聞いてくる。きれいな色白の肌に映えた赤い唇……そのときは、もうそこしか見えていなかった。

A「 …っ、はぁ」

たまらずそこへ自分のものを合わせた。なにも知らないAに、男心をかんたんに揺さぶるAに、男ってこんな生き物なんだよ、危ないだろ。って教えさせる。

……そんなのは長い前置きにすぎなくて。近すぎて見えなかったはずの彼女を欲しいと思ってしまう自分を抑えきれなかったんだ。このまま自分のものにしたいって思うくらい、

俺はAしか見えなくなっていたらしい。

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