049 ; kznr ページ14
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ごそごそって音がして彼女が目を覚ましたんだとわかる。休み時間、ナナちゃんが教室にきてAが倒れたと聞いたときは考えるよりも先に体が保健室へ向かっていた。感情まかせに動くって、俺もAに似てきたかもしれない。
先生たちが「 貧血かもね 」って言うから、たぶんきっとそうなんだろうけど。昨日の今日だ。なにかあったに違いないと、むりを言ってAが起きるまで俺もここに居させてもらった。
ぷくっとした頬は桃色で、白い肌をきれいに染めている。母ちゃんが「 Aちゃんの前世は天使じゃないかな〜 」とよく言っているけど、本当にそうかもしれないと思わせる寝顔で、赤ちゃんみたいに小さな呼吸を繰り返していた。
しばらくすると、鼻をすする音が聞こえてきた。それが泣いているのだと気づくのはすぐで。きっとその涙の理由は大まかに考えても俺が関係しているのだと思う。「 どうした？ 」って声をかけてあげたかったのに出来なかった。
「 離れないで 」と、苦しそうにAがつぶやくから耐えられなくて。俺があなたのそばからいなくなるなんて、なにばかなことを考えているのよ。そんなこと1度もしたことないでしょう。
「 ………俺が離すわけねーじゃん。 」
目に涙をいっぱい溜めながら驚いた顔でこっちを見る。理由もわからない、なにを思っているかもわからないAを引き寄せて抱きしめた。腕の中でさらに泣きはじめた彼女は、このまま消えてしまうんじゃないかってくらい力無い。
A「 ……行かないで… 」
「 ちゃんとここにいるから 」
腰に手を回してきたAが顔を埋めて、首を横に振った。
A「 ユキさんのところ、行っちゃやだ……！ 」
どうして、ユキさん………？
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
