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翌日。普段よりもゆっくりめに家を出て学校へ向かうけれど、かずくんを迎えに行く心の余裕なんてなかった。昨日の夜から重い石が入っているみたいに体はだるくて、気分も下がったまま。クラスのみんなが話しかけてくれたけど、いつもの調子でちゃんと返せていたかはわからかった。
＊「 A、顔色悪いよ 」
「 今日すっぴんだからかな 」
＊「 そういうことじゃなくて、 」
「 二宮くんとなにかあった？ 」って、みんな言うの。なにかあるとすぐにかずくんの話に結びつけられるから、笑って誤魔化したり否定するのに、今回ばかりは素直に頷いてしまった。一緒に凹んでくれたり、背中を撫でてくれるみんながだいすきだ。
昨日のことを思い出すたび鼻の奥がツンとして泣きそうになるからぐっと堪えるけど、その様子をナナは見ていたのだろう。ふとした瞬間にぎゅっと抱きしめてくれて、大丈夫だよって言うの。
ナナ「 A、やっぱり顔色悪いって 」
「 ん……？大丈夫 」
ナナ「 おねがいだからむりしないでね 」
梅雨が明け、気温も上がり、半袖の生徒もちらほらと増えてきて、そろそろ夏がやってくる。なんだか体がぽかぽかするのも、歩くと視界が揺れる瞬間も、この暑い季節のせいにして授業を受けようとしたのが間違いだった………
ナナ「 A！！？ 」
ノートを提出しようと席を立った瞬間、大きく目の前が揺れた。力が抜けて体が倒れそうな感覚。遠くから聞こえるみんなの声を最後に、そのまま意識を手放した。
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作者名：くまこ
| 作成日時：2018年11月19日 0時
