祓い給へ清め給へ (ページ27)

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少し遠くにミツさんの姿が見えた。相手は誰だか知らないけど、女の人に話しかけられているようだ。

っていうかミツさんにグイグイ行き過ぎじゃね？勘違いじゃなければミツさんも困ってそうだし、ここは俺が助けに行くしかないやん！ってことで、無事に救出成功したのである。

「ミツさぁん、完全に逆ナンの雰囲気でしたよ？アレ。もー、俺が来なかったらどうしてたんすか」

『馬鹿言うなよ。あの子はただの高校時代のクラスメイトだから何もないし。…でも、正直助かった。泰輔、ありがとな』

「いーえ。俺の勘違いじゃなくて良かったっす」

昼飯を食べながら、泰輔は今朝の出来事を由伸へ話していた。

「今日さぁ、ミツさんが逆ナンされてたんだわ」

「……えっ！はっ!?ミツさんは!?無事なん!!!?」

「由伸落ち着けよ。ミツさんは俺が助けたから無事だったけど、…何かさぁ、相手がさぁ、高校ん時の知り合いだからって一方的に馴れ馴れし過ぎね？って思うくらいでさぁ、……んあーーー！モヤモヤする！」

「そっちこそ落ち着いてくださいよ。…まぁ、ミツさんは優しいからなぁ。やんわり断ろうとして押し切られそうになってたんやろ？想像付くわ」

「そーなんだよなぁ。そういうところが危なっかしいっていうか、福さんと周平さんの気持ちがわかるわー…」

本人はどう感じているのか知らないが、密岡 Aはなかなかにモテる。

見た目が良いのはもちろんなのだが、優しい、穏やか、落ち着いている―――そんな形容詞がよく当て嵌まる彼は、好意を持たれることが多かった。

スタッフやファンに対しても物腰柔らかく、急いでいる時でも投げやりな対応はしない。

そんな彼だからこそ、自分だけを見てくれれば、その優しさを自分だけに向けてくれるはず、そんな願望を抱いた者が寄ってくることも多かった。

自分だけを見て欲しい、自分しか目に入らないようにしてやりたい、―――するり、するりと、ソレは近付いて来る。