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「さぁ！この衣装に着替えてくださいね！もうヘアメイクもシチュエーションも構想は完璧ですから！さぁさぁ！」
『ひぇ』
福也に連れられ撮影ブースに到着するやいなや、待ち構えていたスタッフさん達に囲まれた。恐ろしい。帰りたい。
今年のオリ姫デーは"アイドル"がコンセプトらしい。
俺にそんなイメージあるのか？絶対にないと思うけど。
"垂れ目に泣き黒子はまさに完璧なアイドル顔！"、"小顔でスタイルの良さが際立ってる！"、"アンニュイな表情で色気全開なミツさんが見たい！"…なるほど???
「お、さっそくやっとんな！福也もお世話係ごくろーさん」
「Aだってどうせ逃げられないのはわかってるくせにね。周平も見学してく？」
「ミツ、絶対おどおどして可愛えやん。見てこ」
写真は魂が抜かれるだ何だと逃げ回るAだけど、普通にしていればまぁ、見事にイケメンの部類に入る顔立ちなのに、もったいない。
かっこいいというよりは綺麗という表現の方がしっくりくるような、なんていうか、独特の雰囲気がまた目を惹くんだよなぁ。…あ、また目瞑った。
「あっはははは！これは大分苦労しとんなぁ。…でもさすがに可哀想やから、そろそろ助けたるか」
「ミツちゃーん、どう？順調？」
『周平かよ。見りゃわかるだろ』
「口悪っ。シャッター切る時にビクビクしてんのも可愛えけどなぁ、いつもみたいにぼーっと天井でも見つめてればええねん。ほんならすぐ終わるんちゃう？」
俺の頬を突きながら、周平はそんなことを言い出す。
ま、後は気の持ちようやでー！と、適当な事を言うだけ言って、肩を叩いて離れて行った。いつも天井見てるって、失礼すぎないか、アイツ。
結局は気の持ちようかよと思いながらも、さっきよりちょっとだけ力が抜けた。…だからちょっとだけ、周平にも感謝しておくことにした。
(やっぱ画になるよなー、Aは)
(うわー、この角度ええなぁ。…でもなんか、なんか、、、色っぽすぎん!?)
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作者名：すずめ | 作成日時：2024年3月25日 17時
