魂を抜かないでくれないか ページ22
(某企画の話)(別名:広報さんの気苦労は絶えないという話?)
この世界に飛び込んで気付けば数年、年月が経つのは早いもので。
そしてまた今年もこの時期が来たか…と、もはや毎年恒例になりつつある光景を遠巻きに眺めた。
「え、ほんまにどこ行ったん!?あの人!」
「さっきトイレに行くって走ってましたけど…」
「それ逃げるときの定型文だから!信じちゃダメなやつだから!」
「今年こそは絶対逃げられないようにって撮影最後に回したのにー!!」
「いっそのことリードに繋いでおくしか…ブツブツ」
「ねぇ、足の速さを活かす場面 絶対間違ってると思わない?」
『…っ!おー、福也か。悪いけどちょっと匿ってくれないか』
「それって俺も共犯になるんじゃないかなぁ。やだよ」
『……福也は俺の魂が抜かれてもいいんだ』
「まぁたそんなこと言ってー。」
あ、スタッフさーん!今そっちに連れて行きますねー!と隣で大声を出すものだから、完全に居場所がバレてしまった。
ほら、行くよと手を繋がれてしまっては、もう逃げられない。
『あぁ…さよなら、俺の魂…』
「はいはい。でもさ、前よりちゃんと写れるようになったじゃん?」
入団したばっかの頃の撮影なんてシャッター切れなかったり、変なもの写り込んだり、大変だったもんね?と笑いかけてくる。そんな恥ずかしいこと思い出さなくていいのに(その節は周囲に大変ご迷惑をおかけした)。
でも、そんなことがあっても仲良くしてくれる福也には頭が上がらない。
『ファンが応援してくれてんのはありがたいと思ってるよ。でもカメラはなぁ…うーん……できるだけ頑張るけど』
「そーそ、その意気だよ、A」
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作者名:すずめ | 作成日時:2024年3月25日 17時