祓い給へ清め給へ (ページ2)

今日:245 hit、昨日:796 hit、合計:34,906 hit

煮詰まる想いは白紙に戻してページ2

(昔の話)(想いにはいろんな形があると知ったときのこと)

身体が重いと感じたら密岡に相談しろ、物件選びに困ったら密岡に相談しろ、変な壺を買わされそうになったら密岡に相談しろ、とにかくヤバいと思ったら密岡に相談しろ、―――

これは新人が、先輩やらOBやら、いろんな人達から言い聞かせられる言葉である。

"この顔にピンときたら110番"じゃないんだからとか、いきなりそんな相談してたら一発でヤバいヤツ認定だろとか、逆にピンポイント過ぎて使いどころがわかんないっすとか、新人なりにツッコミを返そうとするも、先輩達が極々真面目な顔をして言うものだから、「アッ、ハイ…あざす」としか言えなかった。

俺も入団したての頃はわけがわからなかったな、と当時のアドバイスを思い出しつつ、目当ての人物に声を掛けた。

「ミツさーん！あの、とにかくヤバいんで、ヤバい案件なんで、後で相談いいっすか！」

『俺には泰ちゃんの語彙力の方がヤバいように思えるけど、練習終わったらで大丈夫か？』

「あざっす!俺にはもうミツさんがいないとダメなんで、忘れて帰るとかナシっすよ!?」

『お、おお…？とりあえず、練習後にな。怪我しないよう、まずは切り替えて頑張っておいで。』

ミツさんは俺の金髪をフワフワと撫でて、微笑んでくれた。

…よし、ひとまずミツさんに約束は取り付けた。そうなればもうこっちのもんだ。
ミツさんに言えばどうにかなると安心しきった俺は、気持ちがゆるゆるのまま練習に向かい、無事にコーチに怒られた。

『…おやまぁ、随分と熱烈な物を持っているね』

練習をきっちり終わらせた後、落ち着いて話せるようにと、ロッカーからサロンへ場所を移すなりそう切り出したミツさん。
まだ何も話しても見せてもいないのに、すでに俺の目的がわかっているらしい。