アオハル返せ 番外編【稲荷崎】

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もはやしんどくて歩くことを放棄した私を見兼ねて、北先輩はタクシーを読んでくれた。いやリッチか。




いつもなら遠慮するが、正直そんな気力もないので、ありがたく乗らせてもらう。



家に着いて布団に倒れ込む。もーむり死んだ。私の命日は近い。




『しっ……信ちゃん……私が死んだら……鈴持ってお葬式……来てくださいね……』




あまりのしんどさに辿々しくなったのは許してほしい。




「なにゆーとんねん。なんか食うか？」




『いえ……なにもいらないです……』




「ほなちょお買い物してくるから大人し待っとって」



『はーい』




目を閉じて無の境地に陥っているといつの間にか意識を手放していた。







ふと鼻をつく匂いに目を覚ます。その正体は









ネギ。




『すみません、信ちゃんこれなんですか』




「ネギやけど」




『そこまでバカじゃないので見ればわかるんですが、なんでこんなこと？』




寝たので少し体が楽になったような……いや、変わんねえな。




「民間療法。ばあちゃんが風邪引いた時は首にネギ巻くとええてゆーとったから」




さすがおばあちゃんっ子。




「そない喋り倒せるならなんか食え。おじやかゼリーどっちがええ？」




『おじやって温かいですか……？』




「おん。今できたばっかやしな」




『じゃあおじやにします』




一言で言う。めちゃくちゃ美味しかった。ちょっと半分くらい残してしまったのは申し訳ない。それから処方してもらった薬を飲んで再び私は眠った。

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