アオハル返せ【稲荷崎】

12.#アオハル ページ13

『ただいま〜』




玄関の扉を開いた瞬間鼻をくすぐるのはご飯のいい匂い。




「Aちゃん遅かったなあ、どっか行ってたん？」




『あー、部活の見学。着替えてくる！』




急いで着替えて食卓につく。おばあちゃんのご飯は美味しい。ただでさえ迷惑をかけるというのに与えてもらうばかりではダメだから、洗濯物たたみと風呂洗いは私の仕事にしてもらっている。




風呂から上がってタンクトップとショートパンツに着替える。まだ夏前とはいえ、宮城に比べて兵庫は暑い。




縁側で、これからマネージャールートを回避するべく考える。あ、蚊。格闘しているとおばあちゃんがりんごを剥いて持ってきてくれた。




どこぞの親父だよってポーズでりんごと常備食のおやつカルパスを貪っていると、インターホンが鳴った。こんな時間に誰だろう？




「Aちゃん、おばあちゃん出れへんさかい、出てくれへんー？」




『はあい』




立ち上がって玄関まで行き鍵を開け扉を開ける。




瞬間閉める。




『え、見間違い？北先輩に見えた』




するとガラス戸1枚挟んだ向こうがわから、見間違いやあらへんと聞こえた。聞いていたのか……！




恐る恐る扉を開け、顔だけ出す。だって私の格好やばい。




『なぜ北先輩がここに……？』

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