岩本照Episode2 ページ33
佐久間の家に行く度に
天井の紙を見る
『岩本照』→『いる』
良かった、俺はまだ捨てられない
ある日
佐久間が首に包帯を付けて学校へ来た
「佐久間っ、何があったんだよ」
「○○高校のヤンキーにカツアゲされそうになって
必死に逃げようとしたら、
首、絞められて、めっちゃ怖かったっ」
ひどく怯えた表情をしていた
許せない
「どこに居たの、そいつら?」
「近くのコンビニの裏に
照?どこ行くの?」
「早退する」
俺は学校を飛び出した
「・・・作戦通り」
案の定そこにはヤンキーが数名居た
なぜか、
見覚えがある顔があった
しゃべったことはないはずなのに
どこで見たんだ、俺は?
「あ?なんだお前
っ、ぐはっ!!!」
そいつがリーダーだろう
殴った
「てめぇ、兄貴に何してんだ!!」
「失せろ」
「うっ、がはっ!!」
一匹狼だった俺に挑んでくるやつが多かったせいで
喧嘩はそこそこ得意になった
「や、やめろ、なんでもするから、」
「そんなんであいつの傷が消えると思ってんの?」
右手を大きく振りかぶって
「照!!!」
「っ、佐久間?」
「もう殴っちゃダメ!!」
「だけどこいつは佐久間を、」
「そんなのどうでも良いの!!
俺のせいで照に傷ついてほしくないの!!
あー!!
手、怪我してるー!!
遅かったっ、ごめんね!!」
こんなに、心配してくれる人は周りにいなかった
佐久間大介は心底優しい人なんだ
「俺、佐久間の為ならなんでもするから
いつでも頼って」
「・・・ありがとう、照」
その笑顔は太陽のように優しく
今思えば雪のように冷たかった
俺はまた佐久間の家に行った
そして天井の紙を見た
いつも通りの文字に安堵し
名前の横に花丸がついていたことに歓喜した
大丈夫、俺は捨てられない
所々に写真がついたその紙に
「あ、れ?」
あのヤンキーが載っていた
笑顔の佐久間とぼこぼこのそいつのツーショット
どこかで見たとは思っていたが、ここだったか
でも、なんで、
「そいつが俺の首を絞めたか、だよね?
簡単だよ、命令したから」
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作者名:春のクマ | 作成日時:2022年8月4日 21時