尾行 ページ22
sideシルク
「いくらなんでも、それはマズイだろ!なぁ、モトキ!」
なるべく小声で言っても、全く聞く耳を持たないモトキ。大丈夫だって。言いながら、ズンズン歩いていく。
『彼氏かどうか確かめたくない?』
そう言ったモトキはまるで探偵みたいに、Aさんと隣のヤツを尾行し始めた。
モトキを止める術がなく、いや俺自身も気になっていて。白黒付けれるならハッキリしようじゃねーかって。思ったのは、確かなんだけれども…
「…まじか」
街中から商店街を抜けて、少し歩くと住宅地へ。2人は、昔ながらの佇まいの平屋の一軒家に入って行った。
家の周りには垣根でぐるっと囲まれていて、中は簡単には見えそうもない。2人で住んでいるのか、はたまたAさんかアイツかどちらかの家なのか…
「もーいいべ。帰るぞモトキ」
これ以上は無理だと自分に言い聞かせ、モトキを連れて帰ろうと促すが。
モトキ「俺、表札だけ見てくるからっ!」
諦めない男は、走って行ってしまった。嘘だろ!驚きながら、俺も後を追うように走ると垣根の間に木の門があってそこに、同系色の木の表札が飾られていた。
モトキ「小川、ではないね。」
「あ、あぁ。」
そこには、Aさんの苗字ではなく『鮫島』っと飾られていた。
モトキ「さっきの隣の人が、鮫島なのかなー。でも、結婚しても夫婦別姓の人もいるしなー」
さり気なく、トゲを刺してくるモトキ氏。
結婚、、、そうか。それもあるか。Aさんは俺たちよりも、3歳年上で。一般的に言えば結婚適齢期って言えばそうだよな。
考えてなかったと言えば、嘘になるけど。
普通結婚したら、指輪とかするもんじゃね?
女の人こそういうのしたい人、多いんじゃね?
だから、普段アクセサリー類をつけないAさんは結婚はしてないっと勝手に思い込んでいた。
思い込んでただけで、彼氏いるの?結婚してんの?なんて、どストレートな質問が俺にできる訳もなく
謎は深まるばかり。
…どうしたものか。
『ワンッ!ワンッワンッ!』
『待って!大福!じゃ、迎え行ってきまっ……』
ガラガラガラ…
悩み立ちすくむ俺の目の前。門がスローモーションかのようにゆっくりスライドする。
小川「す?…あれ?シルク、くん?モトキくん?」
『ワンッ!』
門が開くと、Aさんと茶色のラブラドールが俺ら2人を見つめてた。
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