近界民人形（ネイバードール）は自由を求める【ワールドトリガー】 (ページ5)

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gate3 ページ5

ボーダー。近界民の嫌う人間の集まりだと私は玄界から帰ってきたラッドから聞いていた。
やっぱりウソなんだ。私を殺さないなんて。今ならトリガーが使える。ここから逃げて、別の国に行こう。
迅「あーボーダーって言っても、近くのデッカイ建物にいる奴らとは少し違う」
違う？どうして同じ組織なのに違うの？
迅「あっちの連中は確かに近界民を嫌ってる。そうじゃない奴もいるけど、嫌ってる連中のほうが多い。でも、俺たちは違う。考え方が逆なんだ」
ガラガラとホワイトボードが出てきた。なんでそんなものがあるの？
今度は栞が指し棒を伸ばし、説明を始めた。
宇「えーまず、ボーダー内の派閥について説明しましょう。ボーダー本部内の大半を占めているのが「近界民は絶対許さないぞ主義」の城戸指令派、「近界民に恨みはないけど街の安全が大事だよね主義」の忍田本部長派、そして…」
迅「「近界民にもいい奴いるから仲良くしようぜ主義」の俺たち玉狛支部」
最後は悠一が決めた。栞は不満そうだけど話を進める。
宇「ってなかんじで私たちは本部の人たちとはちょっと違うんだ。だからAちゃんは本部に行かない限り安全なの」
貴「そうなんだ。わかった。私ここにいる。いい？ボス」
林「勿論だ。また賑やかになるな」
頭を撫でられる。暖かくてホッとする。力が抜けたと思うと、途端に涙がこぼれた。
林「あれ、俺泣かせるようなことしたか？」
貴「違うの。こんなに優しくされたの久しぶりだったから」
迅「家族となにかあったのか？例えば、親とケンカしたとか」
貴「ううん。あんなの、もう親なんかじゃない。あいつらは私を売ったんだ」
気がつけば拳に力が入っていた。怒りの感情が高まって、今にも爆発しそうだ。
ここの人たちなら大丈夫。全部話してしまおう。
貴「私は国から逃げてきたの。あんな扱いはもう嫌だ。皆私を物としか見てないんだもの」
皆が黙っているなか、私は話し続ける。
貴「私はあそこで、「近界民人形」の実験体だった。体に門発生装置を埋め込まれて、無理やりトリオン量を増やされて。1日中トリオン体で過ごしたこともあった。そのほかにもたくさん苦しい思いをした。あんなのおかしい。戦争のためだけに改造するなんて…」
迅「A…」
悠一が私を抱き寄せた。私は悠一の胸にうずくまって泣き崩れた。