1 皐月、君を知る。 ページ1
5月初旬、天気は快晴。雲一つのない空である。
その空の下で、俺たちは昼ごはんを屋上で食べていた。
一応、屋上の使用は原則禁止であるが、屋上の鍵は常に開いているので使用する生徒は多い。先生も特に注意はしない。屋上には柵があり、また監視カメラがあり異常があればすぐに対応できるように対策してある。使用禁止と言いながら、この対策しあるのは矛盾であると前に友達が言ってたなー、と不意に思った。
クラスの友達とは、久々に昼ご飯を食べる。GWは、音駒との練習試合などがあって、昼休みも影山と練習したり、菅原さんとも練習したり、ゆっくり食べることもなかった。
「で、日向は、だれが好み?」
「・・・え」
急に、話をふってきたから反応できなかった。
「ごめんごめん!ぼーっとしてた。なんの話だっけ?」
「もー、ちゃんと聞いとけよなー」
佐竹が弁当から唐揚げを箸でつまみ、口に運んで言った。
「クラスの中で、彼女にしたい人とか気になる子とか好みの子がいなかったって話だよ」
雪村が、俺に教えてくれた。
俺の好みの子か。俺は、あまり好きなタイプとかの恋愛話は苦手だ。そりゃ、潔子さんは美しくて好きである。しかし、それが彼女にしたいって意味の好きではない。
「う〜ん。いないかな」
「まぁ、日向はバレーばっかしてるから、そのほかのことに関しては眼中になさそうだしな!そりゃそうか」
「まぁ、日向ならそういうと思った。初恋とか、まだっぽそう」
「ぬぅ、そんなことないぞ!初恋ぐらいあるし!」
雪村の言葉は、心外だ!俺にだって、初恋ぐらいしたことがある。幼稚園の先生であるが。
「どーせ、幼稚園の先生でしょ」
「な、なんでわかった!」
「まぁ、想像はつくよね」
雪村は、佐竹をねーっと言って、笑った。
少しむくれた俺は拗ねたように訪ねた。
「じゃ、じゃあ、雪村は、気になる子とかいないの?」
「俺?いるよー。隣の席の結月Aさん」
結月Aさん・・・?あまり喋ったことがないからイマイチわからない。
「へえ、あの子ね。気になったきっかけは?」
佐竹は知っているようで、雪村に質問した。
「えーとね、前に授業でわからないところがあって、教えてもらったんだよね。丁寧ですごくわかりやすかったし、優しいし容姿もいいしね」
雪村は、笑顔でそう答えた。その顔だけで、結月さんはいい人なんだと分かる。
結月Aさんか…
その日、俺は初めて君を知った。
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作者名:紅縺 | 作成日時:2019年3月27日 23時