呪霊って、料理したら美味しかった。

レシピ２８ ページ38

夏油side


本当は負けるつもりでいたのだ。なのに、なのに、



「Aに勝ってくださいね！」



後輩の頼み。頭の中がそれらでぐるぐる回る。此処は後輩の願いを聞いた方がいいのでは……？いや、でもAには勝たせてやりたい……


そして、とどめには、キラキラと光る、笑顔。その目。


それを見ると、私は負けられなくなってしまう。


そして、言ってしまった。




「うん。負けないよ」





ああ……言ってしまった………。





はぁーと溜息と吐く。後悔はある、がしょうがないではないか。
あの笑顔にはやられる。あの瞳にはやられる。




お題を思い出す。

確か、


お袋の味を再現しろ！

肉じゃが限定



だったはず。


私は料理がよく分からないので、スマホで、





『お袋の味 肉じゃが』




と検索をしてみた。


幾つかあったので、タップしてみる。



材料は、


ジャガイモ

牛肉

玉ねぎ

人参

板こんにゃく



と、出てきた。



取り敢えず、近くの冷蔵庫から、その材料をスマホを片手に取ってくる。後は、塩、砂糖、醤油っと。あ、サラダ油もか。


そんな事を思いつつ、材料をテーブルに出した。




ﾄﾝﾄﾝ



まな板で切る音を立たせながら、野菜を切っていく。

そして、鍋に入れて煮る煮る。




こうしてみると、料理は意外と難しい。




「お」



最後の所に、美味しくなる秘訣が書かれていた。

気になるのでタップしてみる。





『ジ○ムおじさんみたいに、相手の事を思って、

美味しくなーれ、美味しくなーれ

と、唱えてみましょう』






と言う事なので。







「美味しくなーれ、美味しくなーれ」




中学時代の仲間や、高専時代の仲間の事を思いながら唱えた。懐かしく思い出。あの頃は、人生で一番楽しかったな＿＿＿＿＿＿＿＿



そんな思いと共に。

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