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5・夢 ページ7




『きみも私も、なりそこないの失敗作』




………………。





「あ、やっとお目覚めかな?随分とのんきに寝ていたねえ」

何となく誰かに呼ばれた気がして目を覚ますと、よくよく聞き覚えのある声がした。

何があったかのか今一つ理解が追い付かない。

ただ、何だか懐かしい夢を見ていたような、そんな気がした。でもどんな夢だったか思い出せない。

私は何故か笹舟の中で横たわっていた。彼は笹舟に寄りかかるようにして立っていた。


「……んん」

ゆっくりと身体を起こす。頭が痛い。身体がやけに重い。何があったか思い出せない。


「あれ、ひょっとして覚えてないのかい?キミ、島の少女を連れ出して渡航の禁じられている筈の流れ島に行っては気絶するって云う、かなり派手な事やらかしてるんだけどなあ」

「それは……やらかしたなぁ」


体内モグラの少年少女もびっくりのやらかし振りだ。私は他人事のように呟きながら、ようやく自分が何をしたのかを思い出した。

確か私は、魂形に感情を与えようとしていた筈だ。しかし今、私には何故か感情がある。


「……ねぇ、あの女の子は?」


そこまで考えて私はあの少女の姿が無いことに気付く。

もしかしてあの少女が気を失った私を魂形から遠ざけたのではないだろうか。理由は判らないが、その可能性は高い。

それから少女が居ない事に気付いた長老会が追手を出し、私と彼女を連れ帰った……と云うのが有りそうな顛末だ。


「キミが寝てる間に中央塔に連れて行ったよ。特に抵抗もしなかったしね」

「……そっか」


それは彼女には悪い事をした。何か罰を受けたりしないと良いんだけど。


「さて、起きてすぐに悪いんだけど長老会がお呼びだよ」


ちっとも悪いと思っていない調子で彼が愉しげに云った。半ば予想は付いていたけれど、やっぱり気が進まない。

せめて明日じゃ駄目だろうか、と彼に問うと、無言で肩をすくめられた。自分に云われても仕方がないと云いたいんだろう。確かにその通りだ。


「……ところで。キミはあの島に何しに行ったの?」


正直に答えるなら感情を捨てに行った、と答えるのが正しい。そうしても良かった。でも私はそうはしなかった。

理由は自分でもよく判らない。でも、凡ての物事に理由を付けなくてはならないなんてのは無粋な考えだ。


だから私は正解に最も近い、別の言い回しを選ぶ。



「……ゆめから覚めに」




結局、ゆめから覚めうる事は無かった。

6・再び体内→←4・魂形



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猫目 - 今更ながらコメント失礼します!同じく私もシュアン推しなので見つけたときめっちゃテンション上がりました!見ていらっしゃるかは分かりませんんが更新応援しております(^^) (2019年3月26日 20時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
りぃふ - はじめまして。今更コメント失礼します!私はクジ砂中でシュアンがとても好きなので、この小説を見つけた時はすごく嬉しかったです!このお話のおかげで今だいぶシュアン沼にハマってます…笑お忙しいとは思いますが、更新楽しみに待っています。(*^^*) (2018年6月24日 19時) (レス) id: f3d7bfc71d (このIDを非表示/違反報告)
なつみん - るりさん» ありがとうございます!同士嬉しいです!最近滞り気味ですが、時間を見付けて更新します! (2018年2月20日 17時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)
るり - 初めまして!私も団長さんが好きです!とても良い設定、話で好きになりました。これからもがんばってください続き待ってます (2018年2月16日 17時) (レス) id: 1a80d02d72 (このIDを非表示/違反報告)
なつみん - 裕貴さん» 裕貴さん、はじめまして!私も団長さんが一番好きなので、そう言って頂けると嬉しいです。皆様のコメントを励みに、これからも頑張ろうと思いますので、どうぞよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2017年12月22日 6時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつみん | 作成日時:2017年12月17日 16時

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