くじら一家の末っ子くん part2 (ページ8)

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くじらが54匹ページ8

目が覚めると、そこは知らない天井だった
手足の不自由さを感じることもなく、おれは最後に目にしたものを夢だと否定したかった
しかし、背中の痛みがこれは夢じゃないぞ、と訴えている

『あれ？起きた？』

ひょこり、とおれを覗き混むこの無邪気そうな少年

『や、ごめんごめん、結構力強くやり過ぎちゃったみたいで』

ほんとごめんね、と両手を合わせて謝る少年
この少年が謝る理由は…どのくらい時間がたったか分からないが恐らく数時間前にさかのぼる

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エースがだした炎上網により、俺たちクルーとエースの間には炎の境界線ができた
エースはおれたちを逃がして独りで白ひげに立ち向かうつもりだ
そんなの無理だ、5日もあの魚人とまさに死闘と呼べる戦いをして既にボロボロだというのに…！

時間にして一瞬だっただろう

エースの「フザけんなｧ！！！」という叫びと同時に、雨が降った
雨は不思議なことにエースの炎と森の火だけを消すように降っていた

火が消えたあと、倒れたエースと余裕綽々な白ひげ
とにかくエースを助けよう、と皆で立ち向かった

「いくぞ、A」
『おっけー！』

飛び降りてきたのはたった数人
そのなかに、あの少年がいた
これはいい訳に近いが、まだ子供に刃を向けることに抵抗があったおれは、あっという間に距離を詰められ、刀をもつ手に打撃を与えられた

「っ！」

『よっと』

軽い掛け声と共に、にひりとエースが何かやらかしたときのいたずらっ子のような笑みと似た笑みを浮かべ腕をひかれ

『そぉい！！』

そのまま背負い投げされた
ああ、あの背中辺りの痛みはこれが原因だったと思い出した

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