くじら一家の末っ子くん part2 (ページ36)

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くじらが82匹ページ36

「A、少しいいか？」
『？』

ビスタに声をかけられて連れてこられたのはいつも会議を行う部屋
そこにはいると、マルコと父さんがいた

「おぅ、来たか…A、急なんだが仕事をおめェに任せたいんだが、いいか？」
『いいよ！！！』
「即答か」
「話聞いてから返事しろよい」
「ｸﾞﾗﾗﾗ」

父さんから任された仕事、その言葉だけで俺は即答で返事を返す
任務は潜入、と珍しい内容だった
どうやらここからすぐの小さな島
そこには人身売買を目的とした誘拐集団が住んでおり、そいつらに昨夜電伝虫で領土の島の長の孫娘が拐われた、とのことだそうだ

少し説明がややこしいかもしれないが、これは潜入、というより奪還の任務だ
孫娘他、数名の人間を解放するのが俺の仕事らしい

「できるか？」
『やるよ。』

人身売買、というワードで思い出すのは母さんのことだ
母さんも、きっと拐われてああなってしまったのだろう

『俺にやらせて、父さん』
「…頼んだぞ、A」

うん、と頷いて早速俺は準備をすることにした

「ほら、帽子はしっかりかぶってろよい」
『うわっ』

ネイビーブルーのキャスケットをマルコは俺の頭に被せてきた

「髪の毛目立つから帽子のなかにしまえよ」
『わかった』
「いいか、あくまで潜入、だからな
目立ちすぎるなよい」
『わかってるって』

帽子をかぶり直して部屋から出ていった

.

「さて、こっちも準備するか」
「あぁ、頼んだぞ」

.