出社１日目(午前��) ページ3
「で？俺がどうしたァ？」
「実弥の部下になりたかったって話してたの」
「宇髄が上司でなんか不満でもあんのかァ？」
「いや、真っ昼間から堂々とナンパしてる人が自分の上司って嫌じゃない？」
そう言って、紫乃が指差す方向に実弥が目をやると、今度食事いかねぇ？と周りにいる人達の目を気にせず女性社員をナンパする宇髄を見て...
「...最初は嫌だろうが、そのうち慣れるぜェ。俺もそうだったからなァ」
「...え？そうなの？」
「兄貴、宇髄課長と仲良いんだよ」
「別に仲良くねぇよ。たまたま高校、大学が一緒なだけだァ。まぁ、とにかく...」
実弥が紫乃を励ます言葉を言おうとした瞬間、タイミング良く胸ポケットに入れた社用携帯が振動するのに気付き、少し携帯を取り出し画面を確認すると、画面のツールバーに【話がある。いつもの喫煙所に来てくれ。】と表示されていた。
｢はぁ...んだよォ｣
｢......実弥？何かあったの？｣
心配そうな表情で見つめてくる紫乃に実弥は少し微笑むと紫乃の頭をくしゃくしゃに撫でる。
「...とにかく頑張れよォ。何かあればすぐ俺に連絡しろォ」
「兄貴、もう行くのか？」
「あぁ、ちょっと呼び出し。...紫乃」
「...ん？」
「...言い忘れるとこだった、入社おめでとうなァ」
「...！！...ありがとうｯ」
実弥は席から立ち上がると、じゃあなァと片手を上げた後、胸ポケットから社用携帯を取り出しどこかに電話を掛けながら休憩スペースを出ていった。その後ろ姿を玄弥と紫乃は見つめる。
「実弥、忙しそうだね...」
「今は多忙な時期だからな。...でも良かったな、兄貴に会えて」
「...うんｯ！まさか会えるなんて...！！」
実弥に会えた事が余程嬉しかったのか、可愛らしい表情で微笑む紫乃の背後を宇隨は少し複雑そうな表情しながら通ると、そのまま休憩スペースを後にした
続く
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作者名：くじら | 作成日時：2022年3月23日 2時
