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彼は彼で何故かアタフタしているし、私は私で色々と脳内パニックで固まっている。
私と丸山さんが見つめ合うというなんとも不思議な時間が流れたため、
女の子とエリナちゃんがキョロキョロしている。
エ「えっと…お知り合い？」
あ「…」
彼が口を開きかけた時、それに被せるように声を発した。
あ「ううん、違う」
丸「…は？」
その言葉に、丸山さんが驚いた顔をする。
だってそういうことなら…こうするしかないじゃない…。
あ「ごめん、エリナちゃん。私、用事思い出したから今日は帰るね」
エ「え、ちょっと、Aちゃんっ」
走って荷物を持って彼の前を横切り、店を出ようとしたら咄嗟に捕まった手。
あ「離してくださいっ」
丸「なぁ、なんでっ？俺なんかした？」
あ「やだ、やめてっ」
女「ちょっと…嫌がってるやん、何してんの」
エ「…すみません、離してもらっていいですか」
エリナちゃんが間に入ってくれて、丸山さんが私の顔を覗き込んでハッとした。
多分、頬が濡れてたから…それを見てビックリしたんだろう。
そして彼の手がゆっくり滑り落ちたのを確認してから、私は傘もささずに店を出た。
家に入るなり、鍵もかけず、靴も脱がずにその場に座り込む。
あ「うぅっ…なんでっ…」
彼にとって私は、やっぱりただの友達だった…っていうことなのかな。
だって今日は仕事だから朝の新幹線で帰るって…言ってたのに…。
私が雪華草に通ってること知らなかったから、いないと思って入ったのかな。
きっと…デートしてたんだ…。
だから私にはあんな風に恋人にはなれないだのなんだのって…そうだよね、
本命が他にいるなら私は恋人になんてなれないもん…。
一度悪い方に考え出すと不思議なもので、全て悪い方へと考えてしまう。
でもそもそも私たち…何も始まってないわけだし…。
なんかもう自分の中で感情がグチャグチャになってしまった。
そして、嫌でも痛いほどに分かってしまった。
私は…自分で思っている以上に、丸山さんが好きなんだ。
好きで好きで仕方ない。
ハマってしまった沼が、想像以上に深かったことを今になって知る。
しばらく枯れるほど泣いていたら、誰かの走る足音が聞こえてきて
背後のドアが突然開き、大好きな匂いに包まれた。
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作者名：あおきりん | 作成日時：2018年5月12日 15時
