5話 ページ5
地下へと続く階段を、一つ一つ降りていく。
その度に鼻を刺すような悪臭は強くなっていき、何処からか呻き声も。
「……怖いかえ?」
『何故です?此所はマフィアなんだから、こわがってなんかいられません。尾崎さん?』
「姐さんで良い。お主達とは四つしか離れておらんしのう。ほれ、此処じゃ。」
姐さんが指示を出せば、捕虜の監 禁室は重々しく扉を開く。
其処には。
『……………成る程、ね。』
今まで自分に武器の扱いを教えてくれていた、左藤さんの姿があった。
しかし、かなりの間拷問されたのか瞳は虚ろだし、血だらけ。
「お主が殺るのじゃ。やれるな?」
『勿論。』
渡された拳銃は、練習で使っていたモノと同じで慣れた感覚が手から伝わる。
安全装置をはずして、私は小さく息を吸ってから彼女に近づいた。
『非常に残念だ、左藤さん。
貴方の実力ならマフィアでだって充分生き残れただろうに。教えてくれ給え、君はなんのために私に教えていたのだい?』
問いかければ、左藤さんはゆっくりと唇を三日月に歪めた。
「太宰君…………私の異能力はね、人の真相心理を読み取るの……………貴方にそれを使ったとき、貴方からは二つの人格が取れた。
冷酷で無情、利益のためならば何をしても厭わない性質を兼ね備えた二つの人間…………。」
太宰治。
私が生まれ変わる前の姿。
『…………だから何だって云うんだい?私は太宰、太宰Aだ。それ以外の何者でもない。』
パァン
なんの躊躇もなく引かれた引き金。
彼女の脳天を正確に撃ち抜いた銃弾。
私は小さく嘆息を漏らしてから、拳銃を彼女のもとへ投げ捨てた。
殺した。殺したんだ、ついに。
生きる理由を、見つけられる。
やっと。やっと。
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗亜@眠い。(プロフ) - 失礼します。只今中原中也誕生祭実施中です。よかったらご参加お願いします! (2017年4月29日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - オチは中也さんオチだといいな〜です! (2017年4月29日 14時) (レス) id: 3439354143 (このIDを非表示/違反報告)
お芋 - 中也さんオチがいいです…!! (2017年4月27日 20時) (レス) id: 425d94421e (このIDを非表示/違反報告)
麗亜@眠い。(プロフ) - オチ中也さんがいいな。。。 (2017年4月27日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
アオアオ - 初めまして!この作品とても面白いです!オチは中也さんがいいです!!この流れは絶対中也さんだと思います!!これからも頑張ってください! (2017年4月27日 14時) (レス) id: 20e1587176 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/
作成日時:2017年4月11日 19時