22話 ページ23
悪臭と汚泥。痩せこけた人。
貧民街の様子は、まさにスラムと云っても過言では無い程に酷かった。
『さてと、噂の異能力者君は何処かな………』
黒い外套を翻し、高級な革靴で汚泥を踏みつけながら歩く。
すると、視界の隅に小さな路地裏が見えた。
そして、最早見慣れた赤色も。
「僕に近寄るな………!」
そんな言葉が耳をさし、私はその路地裏を覗き込んでみる。
其処には。
『…………みぃーつけた』
白のボロボロの服を刃物のように尖らせ、ユラユラと揺らす少年の姿。
黒く無機質な瞳に、髪の毛先だけが白い少年。
吠えぬ狂犬。
まさにそんな言葉が似合うような、狂気と才能を持った子だった。
背中に戦慄と悪寒が走り、いつの間にか私の口角は歪んでいた。
少年を取り囲んでいた青年たちは、切りつけられたのであろう腕を抑えながら走り去っていった。
少年はそれを見て安心したように肩をおとすと、胸に抱えた一切れのパンを大切そうに持って去っていく。
私はそれを見送ってから、踵を返して貧民街をあとにした。
あの子がマフィアに入れば、直にマフィア最強の異能力者になり得る。
面白い、だがまだその時ではない。
もうすぐ私は幹部に昇格するだろう、その時に私の部下として引き抜く。
『さてと、此れは先触れ前兆しかな………』
ヨコハマの街は、今日も暗い。
そしてその翌日、任務でへまをした私は肩から胸までを切り裂かれると云う重傷をおい、しばらく眠ることになる。
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麗亜@眠い。(プロフ) - 失礼します。只今中原中也誕生祭実施中です。よかったらご参加お願いします! (2017年4月29日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - オチは中也さんオチだといいな〜です! (2017年4月29日 14時) (レス) id: 3439354143 (このIDを非表示/違反報告)
お芋 - 中也さんオチがいいです…!! (2017年4月27日 20時) (レス) id: 425d94421e (このIDを非表示/違反報告)
麗亜@眠い。(プロフ) - オチ中也さんがいいな。。。 (2017年4月27日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
アオアオ - 初めまして!この作品とても面白いです!オチは中也さんがいいです!!この流れは絶対中也さんだと思います!!これからも頑張ってください! (2017年4月27日 14時) (レス) id: 20e1587176 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/
作成日時:2017年4月11日 19時