魔女と異能力に愛された女子高生《文スト》 (ページ8)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:22,322 hit

７段ページ8

『其所を退いてくれないかしら。』

立ち上がってから、なるべく澄ました顔で言い放てば、彼は不適に笑むだけ。

｢悪いね、君を捕らえなければ私が国木田君に怒られてしまう。｣

　
『捕らえられる謂われなんてあったかしら？』

｢君、ポートマフィアに情報を売ったのだろう？
いやぁとても困るんだよね。｣

彼の鳶色の瞳は、まっすぐに私をとらえていて離さない。

いつの間にか戻ってきた虎の彼も、魔力の込められた矢では流石に治癒できないのか、痛そうに抑えてはいたが、朝焼け色の目は、しっかり自我を保っている。

｢君のせいで何の罪もない人が死んでるのに、どうしてそんなに普通でいられるんだ！｣

敵意の滲む声色に、私は思わずクスクスと笑ってしまう。

『そうねぇ……………だって、神様の思い通りの世界なんて詰まらないじゃない。
世界の理に背き、すべてを改竄し、欲望を求め続ける存在…………其処まできたらもう、悪魔としか云うしか無いんじゃない？』

あれ、私は何を云っているんだ？

悪魔。魔女。

…………………『女神まどか』

『………可笑しな事を考えるな、今は此れをどう打破するかよ。』

ひとりでに呟き、私の言葉に今にも掴み掛かってきそうな虎君を見る。

そして、歪に唇を三日月に歪めた。

挑発するように、ゆっくりと。