蛇が十四匹 ページ20
『みゆきちゃーん!』
ミミックの尖兵の靴底から見つかった落ち葉を袋にいれたマリーと太宰は、情報班のもとへと向かった。
振り向いたみゆきは、太宰を見るとあからさまに頬を赤く染め上げる。
「どうか成されたんですか?太宰幹部と茉莉先輩はミミックの対応で忙しいのでは...」
「そのミミックの尖兵から出てきたこの落ち葉を調べて欲しいんだよ。君の異能力は、万能だからねぇ。」
『そういうことなの。ほら治は退いて退いて!
みゆきちゃん、お願いできる?』
「任せてください!異能力《ソロモンの偽証》」
にっこりと笑ったみゆきは、すぅっと息を吸って異能力を発動させた。
開かれた瞳は、何時もの黒ではなく、月のような金色になっている。
さして、みゆきは落ち葉を眺めたあと、そっと異能力を解除した。
「...この落ち葉は、広葉樹の枯れ葉ですね。
しかし、この時期の広葉樹は多年生で落ち葉は落としません。
樹木が枯れた時しか、枯れ葉は発生しませんが、多年生植物はそう簡単に枯れません。
考えられるのは、除草剤によって人為的に枯らされた可能性。
ここ数ヵ月で横浜近郊で専門業者が除去した場所が有りました。その業者は、自動車トンネルの拡張工事に伴う区画整理で、広葉樹を枯らせています。
その周囲に、十年前に廃棄された気象観測所が有ります。近寄る者もなく、朽ち果てた廃墟としていますが、広い上に国内に身寄りの無いミミックにはうってつけかと。」
たった数秒で、これだけの情報を引き出したみゆきの異能力に、さすがの太宰とマリーは呆然とした。
流石、首領直々に引っこ抜いたって訳だ。
太宰はみゆきに感謝の言葉をのべると、すぐに電話をしに行った。
みゆきは彼を送り出すと、青ざめた顔でフラりと椅子に凭れる。
『大丈夫?みゆきちゃん。』
「すみません....太宰幹部の前だからって、無理して使いすぎちゃいました....」
『そっか。みゆきちゃんの異能力は凄いね!
ポートマフィアの情報班が優秀なのもうなずけるよ。』
マリーは彼女の頭を撫でると、踵を返して部屋を出た。
その顔は、これから起こる抗争に何か不安を感じながらも、闇を称えた化け物の色をしていた。
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リア - はやく続きが見たいです!更新お願いしますm(__)m (2018年4月1日 13時) (レス) id: bcb8081e65 (このIDを非表示/違反報告)
みろろ♪くろろ♪ - 終わりですかっ?せっかく良いところなのに、、? (2018年1月11日 22時) (レス) id: e149b1ac55 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - これで終わりなんですか!? (2017年9月11日 9時) (レス) id: 01a2bf4134 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音 - おー!ついにセトが出てきましたかー。波乱の予・感☆更新待ってまーす! (2017年4月7日 22時) (レス) id: 6d7d2c965e (このIDを非表示/違反報告)
狼 - 面白い!!続けて下さい!! (2017年4月7日 17時) (レス) id: abc1e7d64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/
作成日時:2017年2月8日 18時