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シオンが12輪 ページ14

「………君は、忠実なのだね。」


治が云ったとき、私は彼の瞳に一瞬だけ哀しみの色が見えた気がした。


それに、ズキン、と痛む胸を抑えて私は無表情で口を開く。



『………かつて、私は貴方にもそうであった筈よ。誰よりも貴方達を慕っていたのに…………なのに、貴方達は私を殺めたじゃない。
忌みの子なんでしょう?私は。』



「____……………ッ」




ねぇ?どうして。



何故そんなに辛そうな顔をするの?



「……………君には傘下の組織の殲滅を行ってもらう。君の力とやらを確かめるためにね。」


『ふーん、そう言うこと。なら………私も一つ条件を提示するわ。
私一人じゃあ多分、暴れまわりすぎて跡形も無くなるから一人呼ぶわ。』


「それは誰だい?」



『家族にすら殺された、哀しい嘘つきの人よ。
嘘が嫌いなのに、嘘をつくしか無かった桜の青年。』


そして、この舞台の役者の一人。


御客様(椿さん)の為に演じ続ける、不可視の鎖に縛られた操り人形。


「………わかった。殲滅は明日だ、遅れないように。」


『最後に一つだけ質問させて頂戴。

…………何故、そんな顔をするの?』


治の顔は、酷く歪み、まるで泣き出す寸前の子供のように耐えていた。


「…………分からないよ、私にも。

君が憎くて仕方ない筈なのに、君を見ていると胸が苦しいんだ。」



彼はそれだけを云うと、部屋から出ていってしまった。



『………そんなの、台本には書いてないわよ。』



私の呟いた一言は、御客様(椿さん)の詰まらなさげな嘆息で消された。

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もふもふ尻尾の白狐(プロフ) - とっても面白かったです!続き、待ってますねー! (2017年7月9日 23時) (レス) id: ff42cbd255 (このIDを非表示/違反報告)
七鬼 - 面白かったです!続き楽しみにしています。 (2017年7月5日 18時) (レス) id: 3952668a3f (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - とっても、あもしろいで (2017年7月2日 23時) (レス) id: c20871adc8 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - 面白いです!!双黒ゲッス!! (2017年5月24日 5時) (レス) id: 49e6a0c421 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 新作ありがとうです!!更新楽しみに待ってます!! (2017年5月21日 0時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/  
作成日時:2017年5月20日 18時

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